2013/12/18 政府/国土強靱化推進本部が初会合/政策大綱決定、安倍首相「国家百年の体計」

【建設工業新聞 12月 18日 1面記事掲載】

政府は17日、国土強靱(きょうじん)化推進本部(本部長・安倍晋三首相)を設置し、首相官邸で初会合を開いた。推進本部は、先の臨時国会で成立した国土強靱化基本法に基づく組織で、国土強靱化に向けた施策の推進や関係する国の計画などの指針となる政策大綱と、大規模な自然災害に対する国土の脆弱(ぜいじゃく)性を評価する指針を同日決定した。巨大地震などの大規模な自然災害に備え、壊滅的被害を回避するための国を挙げた施策が本格的に始まる。

安倍首相は初会合の冒頭、「首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、国土強靱化は焦眉(しょうび)の急だ。国家百年の大計として取り組む必要がある。内閣が一丸となって基本計画を策定してほしい」と指示した。推進本部は国土強靱化基本法に基づき、首相が本部長を務めるほか、菅義偉官房長官、太田昭宏国土交通相、古屋圭司国土強靱化担当相が副本部長となり、その他の全閣僚が本部員として参加することになる。

決定した政策大綱は、大規模な自然災害が発生した場合でも国家や社会の重要な機能が損なわれないよう、基本的な考え方やプログラムの推進方針などを定めている。自然災害に対する国土の脆弱性を評価しながら、大綱に基づいてより詳細な「国土強靱化基本計画」を策定し、来年5月をめどに閣議決定する。政府が策定する基本計画とは別に、各地方自治体に対し国土強靱化地域計画の策定を要請し、国がそれを支援する。計画内容を国や自治体の長期計画などに反映させることで、強靱な国土づくりを目指す。

計画に盛り込んだ施策には優先順位を付け、常にPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを徹底しながら実施。強靱化のステップアップを図る。政策大綱では、住宅密集地での大規模火災や市街地の広域水害など、国として避けなければならない45の事態を列挙。それぞれの各対策を12の分野に分けてまとめた。住宅・都市対策では、耐火性能の低い住宅の建て替えや改修を促進。学校の耐震化や超高層建築物の長周期地震動対策も進めるとした。交通・物流関係では、南海トラフ地震などで東海道新幹線が不通になる事態を想定し、リニア中央新幹線を「国家的見地に立ったプロジェクト」として推進することなどを盛り込んでいる。

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