2014/1/22 太田昭宏国交相/設計労務単価の見直し指示/2月から上積み、既契約分にも適用

【建設工業新聞 1月 22日 1面記事掲載】

太田昭宏国土交通相は21日の閣議後の記者会見で、過去最大の上げ幅となった13年度の公共工事設計労務単価の見直しを指示したことを明らかにした。技能者の労務賃金が上昇している実態を踏まえ、現行単価にさらに上積みする。月内に関係機関との調整を済ませ、2月から新単価を適用する方針だ。契約済み工事にも改正単価を導入できるよう、価格水準の急変動に対応して請負代金を見直す「インフレスライド条項」を全国で適用する措置も講じる。

13年度設計労務単価は、対象全51職種の全国単純平均で前年度比15%上昇、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)では21%上昇と過去最大の上げ幅となった。国交省は、技能労働者の賃金動向をきめ細かく調査し、機動的に見直すとしていた。月内に決定する改定単価は、14年度分の単価設定に向けて、昨年10月に実施した労務費調査の結果を前倒しする形で反映させる。調査・設計業務などを委託する際に用いる技術者単価も月内に見直す予定だ。

太田国交相の指示を踏まえて国交省は、労務単価の見直しを含めた公共事業の円滑な執行対策を講じる。この中で自治体の大型建築工事で増加している入札不調の防止策として、予定価格を算定する際に資材価格などの最新単価の適用を徹底するよう、月内に総務省と共同で都道府県などに要請文書を出す。予定価格に関する自治体からの相談に応じる体制も整える。会見で太田国交相は、入札不調の発生要因について、「人手不足だけではなく、予定価格と実勢価格がかい離していることや、工事の仕様、地盤条件などが複雑に絡み合っている」との認識を明らかにし、今回打ち出した対策を的確に実施してもらうことが重要との考えを示した。

国交省は別途、自治体の発注工事で見られる予定価格を根拠なく切り下げる「歩切り」の根絶も要請する方針だ。13年度補正予算案に基づいて実施する事業の円滑な執行に向け、各種の取り組みをパッケージにした対策も示す。この中では、震災被災地の復旧・復興事業に限って認めている主任技術者が兼任で管理できる工事現場の範囲を5キロ程度から10キロ程度に緩和する措置を全国に拡大するなどして人手不足に対応する。発注ロットの大型化や、契約から1カ月以内と定めている着工時期の弾力的な運用なども盛り込み、技能労働者の確保など着工の準備を行いやすくする。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る