2014/10/23 日建連・中村満義会長/労務賃金上昇は自然な流れ/担い手確保へ処遇改善継続

【建設工業新聞 10月 23日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連)の中村満義会長は、22日の理事会後に記者会見し、建設技能者の労務賃金や資材価格が上昇していることについて、「デフレ脱却で供給過剰が改善されれば、賃金や物価が上昇するのは自然なこと。デフレからインフレに向かう過程の現象だ」との認識を示した。その上で、現状の労務賃金は依然低水準で、将来の担い手確保には労賃を含めた処遇改善や職場環境の整備に継続して取り組む必要があると強調した。

国土交通省は、公共工事設計労務単価を昨年4月と今年2月に2度にわたり大幅に引き上げているが、中村会長は「上がったといっても、ピーク時に比べると8割程度の水準で、製造業と比べてもまだ10%くらい低い」として、さらなる引き上げが必要との見方を示した。

経済財政諮問会議の民間議員などが公共事業の増大が民間投資を圧迫するという「クラウディングアウト」論を主張していることに対しては、「土木中心の公共事業が、建築中心の民間事業を圧迫することはない」との従来の反論を繰り返し、下請企業や技能労働者も土木と建築で別れている業界構造を正しく理解するよう求めた。人手不足で公共事業の執行が進まないとする指摘に対しても、「適正な賃金を支払えば労働力は確保できる」との見解を引き続き示した。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく発注者共通ルールとして国が年内にも作る運用指針については、7月の骨子イメージ案に続き、骨子案に対しても日建連として意見提出を準備していることを明らかにした。

今後の建設投資については、本年度は前年度並みとの見通しを示す一方、「公共事業は13年度補正予算と14年度当初予算の前倒し執行で上期に大幅な増加となった。秋以降は息切れする」との見方も明らかにした。

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