2014/11/06 日建連/企業会計、「日本基準維持を」/修正IFRS公開草案にコメント

【建設工業新聞 11月 6日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は5日、国際会計基準(IFRS)の修正版として企業会計基準委員会(ASBJ、小野行雄委員長)が提示した公開草案に対して出したコメントを明らかにした。日建連は、欧州からも評価されている日本基準の質の向上を優先するよう一貫して主張。公開草案によってIFRSとの関係が曖昧になるとして、建設会社の経営事項審査(経審)の前提にもなっている日本基準を維持する必要性を訴えた。

IFRSでは、当期利益に含まれない純資産総額を含めた包括利益が適用される。これに対して、ASBJは、「純利益主義」に立つ日本基準をベースに「のれんの非償却」も見直した修正IFRSを公開草案として7月31日に発表。10月31日までコメントを求めていた。

日建連はコメントで、ASBJが日本の立場から意見発信しようとしていることについては評価した上で、▽IFRS▽公開草案による修正IFRS▽一部大手企業が採用する米国会計基準▽多くの日本企業が採用している日本基準-という四つの会計基準が併存することに対し、「単一で高品質な国際基準を策定する本来の趣旨に反する」と懸念を表明。財務諸表の企業間比較の有効性を考える上でも問題があるとした。IFRSと修正IFRSが同一化した場合、日本基準との関係が曖昧になるとも指摘。グローバル展開で海外での資金調達を行うような企業が適用するなど任意の選択にとどめるよう求めた。

日建連によると、投資家の視点から構築されたIFRSは企業の合併・買収(M&A)の際に企業の時価が分かりやすいなどの短期的な利点があるものの、「長期的な経営者の視点とは考え方が異なる」(渡辺英人会計・税制委員会会計部会長)という。経審の申請が日本基準を前提にしていることもあり、建設業界としては、日本基準を高品質な会計基準として維持すべきだとの主張を今後も続けていく構えだ。ASBJは、昨年12月に国際会計基準審議会の会計基準アドバイザリー・フォーラムで当期純利益重視を主張する論文を提出している。

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