2015/03/30 ダンピング対策、市町村にも浸透/13年9月時点で未導入12%/国交省

【建設工業新聞 3月 30日 1面記事掲載】

全国の市区町村に公共工事のダンピング受注防止策が浸透していることが、国土交通省などが実施した調査で明らかになった。13年9月時点で、低入札価格調査制度か最低制限価格制度を導入していた市区町村は前年同期に比べ25団体増加。未導入は全体の12%に当たる207団体となった。管内に未導入市区町村がゼロの都道府県が13府県に上る一方、5道県では依然として2桁の団体が導入しておらず、取り組みに地域差がある現状も浮き彫りになった。

国交、総務、財務の3省が公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づいて毎年度、全公共発注機関を対象に行う「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査」で判明した。それよると、いずれかの制度を導入している市区町村は全体の88%に当たる1515団体。都道府県別に見ると、管内に未導入市区町村がゼロだったのは▽宮城▽栃木▽千葉▽山梨▽富山▽滋賀▽京都▽兵庫▽広島▽徳島▽愛媛▽長崎▽大分-の13府県。傾向として未導入団体は首都圏や近畿、四国で少ない。一方、未導入が最も多いのは56団体の北海道。管内市町村の3割に上った。77市町村がある長野県は31団体が未導入だった。このほか2桁は福島(21団体)、群馬(14団体)、青森(11団体)の3県で、上位5道県に全国の未導入団体の6割が集中している。未導入団体は規模の小さい町村が圧倒的に多く、福島県の団体は福島第1原発事故で住民が避難している町村が目立つ。

調査結果は、発注者の責務としてダンピング防止を盛り込んだ改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)が施行された昨年6月以前のデータ。法改正などの影響は今回の結果には反映されていない。改正入契法に基づく国の指針ではいずれかの制度の活用を徹底するよう求めている。さらに改正公共工事品確法の運用指針は発注者間の連携強化も明記しており、国交省は未導入団体に対する「助言や支援など都道府県のリーダーシップが期待される」(入札制度企画指導室)としている。調査では予定価格の公表時期も集計。事後公表を実施している都道府県が前年より1団体増えて31団体、政令市は2団体増えて16団体となった。市区町村では34団体が事後公表に切り替え、合計で800団体に増えた。低入札価格調査の基準額を算定する際、最新(13年5月)の中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルを採用または準拠している市区町村は3割にとどまった。

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