2015/04/10 国交省/土木工事共通仕様書、2年ぶり改定/架空線事故防止対策を追加

【建設工業新聞 4月 10日 1面記事掲載】

国土交通省は土木工事共通仕様書(案)を2年ぶりに改定した。土木学会のコンクリート標準示方書各編(施工、設計、ダムコンクリート、基本原則、維持管理、規準)など、仕様書に引用されている16の技術基準類がこの間に改定されたため、その内容を反映。架空線などに重機を引っ掛ける事故を防止するための対策も盛り込んだ。各地方整備局に周知しており、今後、直轄工事の契約図書の一つとなる整備局ごとの共通仕様書が見直される。

13年3月に改定されたコンクリート標準示方書(施工編)への対応では、湿潤養生の規定が変更されたことに対応。受注者の実施事項について、「コンクリートの表面を荒らさないで作業できる程度に硬化した後に、露出面を一定期間、十分な湿潤状態を保たなければならない」と明記。さらに、養生方法については、その効果を確かめた上で選定し、適切な湿潤養生期間を定めるとした。鉄筋工の照査規定も反映。受注者が施工前に「設計図書に示された形状および寸法で、鉄筋の組立が可能か、また打ち込みおよび締め固め作業を行うために必要な空間が確保できていることを確認しなけらばならない」と記述した。

14年3月に改定された日本道路協会の鋼道路橋防食便覧に規定された「小規模工事の場合の測定回数」や、13年12月に改定された土木研究センターのジオテキスタイルを用いた補強土設計マニュアルに規定された「補強材が生じる場合の対処」に対応した記述の変更・追加も行った。工事の安全確保に関する規定では、これまで特記仕様書に規定されていた架空線の事故防止対策を記載。受注者は、上空施設の場所、種類、高さなどを現地調査を通じて確認し、支障物件の有無にかかわらず監督職員に報告しなければならないと明記した。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に規定された「受注者の責務」も反映。施工管理で「作業員の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めなければならない」との一文を追加したほか、下請契約を「適正な額の請負代金」で締結することに努めなければならないとの文言も盛り込んだ。国交省は改定案を都道府県にも参考送付した。

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