2015/10/28 財政審/16年度予算、公共事業費総額は抑制/「必要な事業費は確保」も

【建設工業新聞 10月 28日 1面記事掲載】

財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の財政制度分科会は、政府の16年度予算編成に向け、公共事業関係費の方向性をまとめた。事業費の一層の抑制を図りながら、老朽化対策などによって「必要不可欠な社会資本を確保していく」としており、予算の増額は認めず、現行予算規模の枠内で必要な費用を賄うとの方向を打ち出した。財務省は「減額も否定しない」(主計局)としている。

財政審が6月にまとめた建議では、公共事業関係費について、「増やせないということを前提」とし、増額をけん制していた。今回の方向性でもこの考え方を踏襲。公共事業費の削減を直接的に求める表現は盛り込んでいないものの、「引き続き総額の抑制に努める」として抑制のトーンが強い表現となっている。

方向性では、厳しい財政事情や人口減少の本格化を見据え、総額抑制の方針を打ち出した。効率的な維持管理や集約的な更新に加え、社会資本整備総合交付金への事業評価制度の導入など「不断の見直し」を行う必要があると明記した。

特に地方自治体向けの社会資本整備総合交付金については、費用便益分析などの事業評価が行われていないことを問題視。さらに、繰り越しや不用になっている割合が大きい自治体が少なくないことも指摘し、改善を求める内容となっている。

既存ストックに関しては、予防保全型の維持管理や人口減少などを踏まえた集約的な更新を行うことで「長期的なコストの圧縮は可能」だと指摘。建設業の担い手不足を踏まえ、生産性の向上や新規入職者の確保が図られなければ「公共投資の供給制約になりかねない」とけん制した。

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