2015/12/07 15年度補正予算/国の編成作業本格化/国交省関係は3世代同居や緊急防災など

【建設工業新聞 12月 07日 1面記事掲載】

国の15年度補正予算の編成に向けた取り組みが本格化している。先週末に自民党内では、政務調査会の各部会が相次いで開かれ、各府省から現段階の検討状況を聴取した。国土交通部会(秋元司部会長)も4日に関係合同会議を開き、国土交通省が3世代同居に対応した住宅の整備やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備といった住宅対策のほか、河川、道路、港湾、空港、鉄道など自然災害リスクを踏まえた緊急防災事業などに必要な予算を手当てする方針を報告した。

安倍晋三首相が編成を指示した補正予算は、「1億総活躍社会」緊急対策と環太平洋経済連携協定(TPP)政策大綱の中で緊急性が高い施策などが盛り込まれ、来年1月4日召集の通常国会に提出される。

国交省関連の補正予算項目に上がっているのは、3世代同居やサ高住の整備に加え、住宅対策の一環として、既存住宅団地での子育て支援施設や福祉施設の誘致。外国人観光客(インバウンド)による地域活性化として、宿泊施設のインバウンド対応、クルーズ船の受け入れ環境整備、空港CIQ(税関・出入国管理・検疫)施設の拡張などに必要な予算も確保する。TPP関連では、日本の「質の高いインフラ」を分かりやすく伝える広報コンテンツを作成する。

これらに加え、災害復旧・防災減災事業に対応する予算も手当てする。各インフラ分野の緊急防災対策に加え、火山観測体制の強化、地域鉄道への防護施設の整備や鉄道駅のバリアフリー化、河川管理施設の点検や再度災害防止のためのロボットの導入、河川氾濫時に浸水が想定される区域の地籍調査支援、離島での避難施設や避難路の整備も盛り込む。

国交部会合同会議で秋元部会長は、「(団体ヒアリングで)公共工事の発注量が前年、前々年に比べ減少しているとうかがった。一部地域からは年末に仕事がないとの声も聞こえる」と指摘。災害時に応急対応に当たる地域建設業者が担い手を確保するためにも「安定した仕事量を出すことが重要だ」と強調した。当初予算に基づく事業の多くが6月以降に執行されることから、その前の工事の確保には補正予算の編成が必要だとあらためて訴えた。

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