2016/01/18 国交省/15年度下請実態調査結果/賃金「引き上げた」上昇、施工体制台帳に改善余地

【建設工業新聞 1月 18日 1面記事掲載】

国土交通省が全国の建設業者のうち1万4000社を対象に行った15年度下請取引等実態調査で、技能労働者への賃金支払い状況が改善していることが明らかになった。賃金を予定を含めて「引き上げた」と回答した業者の割合は、13年度調査が50・2%、14年度調査が61・2%で、15年度調査は68・6%とさらに上昇した。賃金の実勢価格が上がり、引き上げなければ必要な労働者が確保できないことや、若者の入職促進など業界全体の発展に必要との観点から引き上げが進んでいることが調査結果に反映したようだ。

調査は、15年7月から9月にかけてアンケート形式で実施。12年7月から15年6月までの3年間の取引を対象に回答してもらった。回収率は85・0%。

賃金を「引き上げた」との回答を元請・下請別に見ると、元請が70・2%(14年度60・8%)、1次下請が62・5%(63・6%)、2次下請が53・5%(55・8%)、3次以下の下請が43・8%(42・9%)。元請と3次以下の下請は前年度を上回ったが、1次・2次下請は下回った。引き上げなかったと回答した企業にその理由を聞いたところ、「請け負った価格が低く、賃金引き上げの費用が捻出できない」が最も多かった。

施工体制台帳の作成状況も質問。発注者への提出に当たって契約書、技術者の資格証明、雇用関係を証明する資料など必要な書類を添付していないと回答した業者の割合は、公共工事で52・3%、民間工事で37・3%に上り、改善の余地があることも分かった。

建設業法の順守状況については、不適正な回答の場合に是正指導の対象となる29の調査項目のうち、18項目が前年度調査より改善。特に「契約書で定めている条項」の改善が顕著だった。

国交省は今回の調査結果を基に指導票を送るなどして、必要な是正措置を講じるよう求める。

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