2016/02/17 国交省/歩切り根絶へ直談判/2月中にも残り3団体に、品確法で「違法」周知

【建設工業新聞 2月 17日 1面記事掲載】

国土交通省は、地方自治体が発注する工事の「歩切り」根絶に向けて直談判に乗りだす。総務省と連名で数度にわたって行ってきた実態調査を経てもなお、歩切りを「見直すことは考えていない」とした自治体が3団体残った。国交省の担当者がこれら団体へ月内にも直接出向いて首長と面会し、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の趣旨をあらためて説明。適切な積算に基づく設計金額の一部を切り下げて予定価格とすることは違法行為だとして見直しへの理解を求める。

国交、総務両省は、自治体が行っている歩切りの実態を把握するため、昨年1月1日と7月1日時点での調査を2回にわたって実施。その後、11月1日時点での個別の理由聴取では、歩切りの見直しについて8団体が「検討中」、3団体が「予定はない」と答えた。

見直しを「検討中」とした8団体のうち、見直す方向に移行した2団体を除く6団体と、見直しの「予定はない」とした3団体の計9団体に対し、この2月1日時点であらためて意向確認を行った。その結果、「16年度から見直す予定」が3団体、「見直す方向で検討しており、本年度末までに結論を出す」が1団体、「見直す方向で検討しているが、結論を出す時期は未定」が2団体となり、これら6団体は歩切りを見直すものと判断した。

残った3団体は、関東地方の2市村と中部地方の1町。これらの自治体に国交省土地・建設産業局建設業課の担当官が都道府県担当者と共に直接出向き、歩切りの違法性を含めた改正法の趣旨を説明。歩切り根絶への理解を求めることにした。直談判によってもなお見直しが行われない場合には、当初の予定通り、自治体名を公表する可能性もある。

歩切りの根絶は、改正公共工事品確法に基づく発注関係事務の共通ルールとして昨年1月30日に政府が決定した運用指針に基づく具体的な取り組みの第1弾と位置付けられていた。昨年1月1日時点の調査で歩切りを行っていた自治体は全国で459団体に上っていたが、現在は「端数処理」を除けば3団体だけが残っている形。国交省は、「歩切りをほぼ根絶した」とみている。

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