2016/03/23 政府/女性活躍推進企業に加点/16年度から、総合評価・プロポ方式で原則化

【建設工業新聞 3月 23日 1面記事掲載】

政府は22日、女性の活躍を推進する企業を国の公共調達で加点評価するための指針を決定した。総合評価方式の入札や企画競争(プロポーザル)方式といった価格以外の要素も加味して受注者を決める調達を行う際、原則として女性の活躍度合いを評価する項目を設定する。女性の活躍度合いを加点評価した実績がない建設工事や設計をはじめ公共調達全般の可能な範囲で16年度から順次導入する。

国の発注機関向けに作る「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取り組み指針」は、同日会合を開いた政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)が決定した。国の公共調達での女性活躍推進企業の加点評価は、4月1日に施行される女性活躍推進法に基づいて行われる。国土交通省など関係省庁に対し、指針に沿って配点などの評価ルールを早期に作るよう求める。

指針では、国が行う公共調達全般で、総合評価方式の入札かプロポーザル方式を行う際には、原則として男女共同参画や女性の経営参画の実績といった女性の活躍度合いを評価する項目を設けるとした。評価では、女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法、若者雇用促進法などに基づく優良企業の認定制度を活用する。これらの企業認定制度は、女性の活躍を念頭に置いたワーク・ライフ・バランス(WLB=仕事と家庭の調和)を推進しているかの目安になるためだ。

指針をまとめた内閣府は、評価点の配点も例示。例えば、総合評価方式で女性の活躍度合いに総配点の10%を充てる場合、女性活躍推進法に基づく優良企業認定(えるぼし認定)の基準を満たした数に応じて5~10点を配点する方法を示した。

指名競争入札や随意契約で調達を行う際も、WLBの推進企業を指名・見積もり先に含めることを定めている。

世界貿易機関(WTO)の政府調達協定が適用される大規模な工事(16~17年度7・4億円以上)や設計・コンサルティング業務(同7400万円以上)の入札に参加する外国企業も、国内企業と同様にWLBの推進度合いを確認するとした。

内閣府によると、14年度の国の公共調達の規模は総額約8・3兆円。うち5・3兆円程度(契約件数5~6万件)が総合評価方式かプロポーザル方式で発注された。

指針の決定を受け、国交省は対応策の検討に着手。「入札参加者の状況に配慮し、業界に混乱を生じさせないようにしていきたい」(官房技術調査課)としている。

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