2016/03/25 国交省/とび・土工の主任技術者に民間資格者を位置付け/有識者会議が評価視点提示

【建設工業新聞 3月 25日 1面記事掲載】

国土交通省が設置した有識者会議「とび・土工工事業の適正な施工確保に関する検討会」(座長・日下部治茨城工業高等専門学校長)は、民間が運営する技術者資格の保有者を、建設業法が定める主任技術者として認めるための条件などを検討した報告書をまとめた。資格試験の制度と内容の両面から、主任技術者としての要件を満たすかどうかを評価。専門の技術的知識や安全管理能力などに加え、技術者倫理を資格試験で問うているかどうかも評価の視点に入れるとした。

とび・土工工事業の主任技術者の資格には現在、施工管理技士など国家資格しか認められていない。国交省は、報告書の内容を踏まえ、建設業法に基づく省令改正に向けて必要な手続きに入る。

報告書では、評価の視点のうち、試験制度については、一定数以上の資格保有者を輩出し、全国で幅広く受験できる体制が整っていること、試験が適切で公平性が確保され、合格者の知識・技術の維持・向上措置が講じられていることも評価するとした。

試験内容は、▽専門的知識、技術的知識▽安全管理、施工管理能力▽関係法令の知識▽技術者倫理▽当該工事業種での関係範囲(業種全体との関係性)-を視点に評価。マンションの基礎杭工事のデータ流用問題を踏まえて国交省が示した一般的施工ルールに関する知識や、技術者の倫理観を問う内容が試験に盛り込まれているかどうかも評価するとしている。

検討会は、日本基礎建設協会とコンクリートパイル建設技術協会が運営する民間資格「基礎施工士」を題材にこれらの評価視点で検証。資格者の実態、試験制度、試験内容はいずれも妥当と結論付けた。

ただ、評価の視点に適合した資格でも、試験制度が変更されることを想定し、定期的な確認が必要だと指摘。加えて、基礎施工士が場所打ち杭と既製杭に関する資格で、とび・土工工事業の工事範囲をすべて網羅する資格ではないことから、活用に当たっては工事内容に応じて適正な技術者を配置することが望ましいとしている。

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