2016/03/29 国交省/ICT土工を浚渫工にも拡大/i-Con委報告書案、平準化など3施策重点

【建設工業新聞 3月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は、16年度から本格化する生産性向上施策「i-Construction」のトップランナー施策の一つと位置付けた「ICT土工」を、浚渫工など土工以外の工種にも展開する方針だ。28日開いた有識者委員会に提示した報告書案に明記した。調査・測量、設計・施工、検査、維持管理・更新といった建設生産プロセスにICT(情報通信技術)を全面導入する取り組みを土工で先行的に進めながら、得られた知見を生かして、すべての現場に浸透させていくことを目指す。

同日のi-Construction委員会(委員長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)の最終会合に示した報告書案では、▽ICTの全面的な活用(ICT土工)▽全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)▽施工時期の平準化-をトップランナー施策とした。

このうち、ICT土工では、公共測量や監督・検査基準など15の新基準、ICT建機のリース料を含む新積算基準を16年度から導入。これにより、ドローン(小型無人機)を用いた3次元測量やICT建機による施工が拡大する。国交省によると、これまで人力で計測していた監督・検査の日数が大幅に短縮。延長2キロの現場なら約5分の1、検査書類も約50分の1に減らせるという。

トップランナー3施策による生産性向上効果で1人当たりの生産性が約5割向上。企業の経営環境の改善、現場で働く人たちの賃金水準の向上、安定した休暇の取得、安全な現場が実現し、労働者数が減っても経済成長を確保できるとした。

報告書案では、i-Constructionの取り組みを進めるため、直轄現場への導入と並行して地方自治体を含め全発注者が取り組めるよう、基準類や仕様書類を提供。官民挙げた推進体制として、金融、物流、ITなどの業界も交えたコンソーシアムを立ち上げ、急進展するIoT(モノのインターネット)などの現場への導入を進める。ICT土工で活用した3次元データなどをビッグデータ化し、管理段階でも活用する。

今回議論した報告書案に各委員の意見も取り込んで委員長が成案にまとめ、石井啓一国交相に提出する。

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