2016/04/20 近畿整備局/総合評価方式の16年度運用方針/受注機会促進型や地域防災担い手型試行

【建設工業新聞 4月 20日 12面記事掲載】

近畿地方整備局は、16年度から実施する新たな総合評価方式の試行内容をまとめた。施工能力評価型では、企業の施工能力の配点を変更するほか、新たに企業チャレンジ型(新規参入型)や受注機会促進型、地域密着防災担い手型などの試行、従来の若手チャレンジ型や女性技術者活用型などの見直しも実施。技術提案評価型では、WTO工事を対象とした「若手・女性チャレンジ方式」の試行に加え、1提案1技術の厳格化、技術向上提案付加型や段階選抜方式、現場条件重視自由提案型などの運用も一部変更する。これらの取り組みは、18日開催の総合評価委員会で承認された。

【施工能力評価型】

企業の施工能力のうち、他整備局に比べて配点が低かった企業の実績に関する評価項目(実績・成績・表彰)の配点を高め、品質確保を重視した適切な能力評価とする。従来は7点満点だった配点を、工事成績優秀企業認定の項目(1点)を加えた11点満点に見直す。

企業チャレンジ評価型では「新規参入型」を試行。過去4年間に直轄工事の実績がない業者だけを参加対象とする試みで、府県・政令市の実績・成績を評価する。おおむね1億円以下で難易度の低い工事を対象に、各府県1件程度で試行を行う。若手チャレンジ評価型では、配置予定技術者の年齢を50歳以下としていた「経験型」の年齢を40歳以下に引き下げる。

地域業者の受注機会拡大を目的に「受注機会促進型」を新設する。直轄工事の実績と一定水準の技術力を持つ企業でも、4年間の実績保有期間内に受注がなければ成績等の実績が消滅するため、工事の手持ち状況を評価する仕組みを取り入れる。過年度の平均受注実績に対する当該年度工事の手持ち状況(手持ち工事比率)に応じて最大2点を減点。おおむね2億円以下で比較的難易度の低い工事を対象に、各府県で1件程度実施する。

地域精通度が高く、災害活動に貢献している企業を優位に評価する「地域密着防災担い手型」では、緊急時の施工体制や災害協定の締結など、地域精通度・地域貢献度(20点満点)のみで評価を行う。おおむね1億円以下で難易度の低い工事を対象に、各事務所で1程度実施する予定だ。

女性技術者活用型も一部見直し、2億円までの一般土木Cに範囲を拡大するとともに、鋼橋上部工事でも試行を始める。

また、電通チャレンジ型の受変電・発動発電設備工事への対象拡大、技術的難易度が低い機械設備工事を対象に、企業の施工能力と施工計画のみで評価する「機械チャレンジ型」の試行も行う。

【技術提案評価型】

過度な技術提案を避け、企業の負担を軽減するため、「一提案一技術」のさらなる厳格化に努める。昨年度の試行工事では、従来に比べて技術数を減らした業者は19者中7者、一提案一技術は1者だけだった状況を踏まえ、「2技術以上提案した場合は、加点しない」の記載を追加することにした。

段階選抜方式では、参加者が10者程度でほぼ同じ業者が選抜者となっているPC工事を対象から外すことを決めた。

WTO工事を対象とした「若手・女性チャレンジ方式」は、段階選抜など参加者の多い工事で1~2件程度の実施を予定。40歳以下の監理技術者を配置した場合に8点、女性は年齢に関係なく監理技術者配置で8点を加点する。

技術向上提案付加型では、技術向上提案の配点を従来の10点から20点に引き上げる。技術向上提案評価の低い者が他の評価項目や価格面で有利となり、落札に至るケースが見受けられるため、技術向上提案で高い評価を得た業者が優位となる配点に見直す。

昨年度に1件試行した現場条件重視自由提案型は、段階選抜後に自由提案を求めていたが、受発注者の技術力向上にもつながることから段階選抜を廃止し、全参加者から提案を求める方式に見直す。16年度は1件程度の試行を予定。

技術的工夫の余地が少ない舗装工事などでは、企業の負担を軽減するため、1テーマにおける技術提案数(現行5提案)を最大3提案に減らすことも決めた。

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