2016/05/10 国交省ら3省/社保未加入対策調査結果/自治体工事の元請、「加入業者に限定」が4割

【建設工業新聞 5月 10日 1面記事掲載】

国土交通、総務、財務の3省は、公共発注機関の社会保険未加入対策に関する調査結果をまとめた。15年3月時点で、工事の元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを実施していた発注機関は調査対象1932団体の4割に当たる783団体。国交省は社会保険加入の目標として、17年度をめどに「企業単位で許可業者100%」「労働者単位で製造業並み」を設定。期限まで1年を切っており、各発注機関の取り組みが今後さらに加速しそうだ。

3省は公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づき毎年度、全公共発注機関を対象にした「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査」を実施している。今回の調査で社会保険未加入対策に関する質問事項を新設した。

調査結果を見ると、元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組み(複数回答可)として、「定期の競争参加資格審査で限定」が656団体、「個別工事の競争参加資格審査で限定」が182団体となった。

一方、対策を実施していないのは全体の60%に当たる1149団体。中でも市区町村(対象1721団体)が1124団体に上った。競争参加資格審査で一律に未加入業者を排除すると参加者が減るなど自治体ごとに事情があるものの、国交省は17年度から参加資格審査で排除する動きが強まるとみている。

未加入の下請業者(1次)を排除する取り組み(複数回答可)では、「すべての工事で加入業者に限定」が115団体、「一定額以上の工事で加入業者に限定」が61団体、「許可行政庁または社会保険担当部局への通報」が66団体。すべての工事で加入業者に限定と回答した自治体は、都道府県が2団体(福井県、島根県)、政令市が1団体(仙台市)、市区町村が89団体となった。

一方で実施していないのは全体の89%を占める1718団体となり、下請業者への未加入対策が進んでいない実態が浮き彫りとなった。

国交省直轄工事では社会保険未加入対策を14年8月から試行。15年4月に施行された改正入契法で全公共工事に「加入状況」を記載する施工体制台帳の作成・提出が義務付けられ、同年8月からは下請を使うすべての工事が対象となった。同省は、国の取り組みを地方に浸透させるなどし、「目標期限まで残り1年。発注機関での取り組みを強めていきたい」(入札制度企画指導室)としている。

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