2016/06/23 中建審・社整審小委/構造的課題中間まとめ/不要な重層下請回避、技術者役割明確化

【建設工業新聞 6月 23日 1面記事掲載】

中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)が22日に東京都内で開かれ、今後の建設業政策の基本方向に関する中間取りまとめを行った。基礎杭工事のデータ流用問題の再発防止策として国交省の有識者会議が指摘した建設業の構造的課題を軸に審議。不要な重層下請の回避や、監理・主任技術者の役割の明確化などを盛り込み、担い手確保・定着と生産性向上による技能者減少のカバーも打ち出した。=2面に関連記事

中間取りまとめは、9日に開いた会合で提示された素案をおおむね踏襲して整理された。検討の経緯と建設業を取り巻く情勢、課題に関する対応の方向性、まとめの3章で構成する。対応の方向性は「建設生産システムの最適化」「建設生産を支える技術者の担い手の確保・育成」「建設企業の持続的な活動が図れる環境整備」「重層下請構造の改善」の4本柱で整理した。

元請の監理技術者と下請の主任技術者の役割の明確化のうち、品質管理について詳細に記載。下請の主任技術者の中に、元請の監理技術者などの指導監督の下、元請の監理技術者などに近い役割を担う者がいることを考慮する必要があるとした。会合で古阪秀三委員は「基幹技能者が抜けている。盛り込んでみてはどうか」と述べた。

国交省は10年後の技能労働者数を現時点から約44万人少ない約286万人と試算。10年度の建設市場規模を踏まえた技能労働者数を333万~379万人とした上で、約286万人との差に当たる47万~93万人を人材の入職・定着・育成策と生産性向上の効果によってカバーしていく方向性を示した。

蟹澤宏剛委員は「入職率などを高い数値で試算している楽観値の集計。今の官民の努力を続けなければ難しいというニュアンスを盛り込んでほしい」と指摘した。

すべての審議を終え、大森委員長は「皆さんの英知をいただき、おおむね対応策を示すことができた。今後は対応策を速やかに実行に移すことを期待している」とあいさつした。

最後に宮内秀樹政務官は「今回議論したことを各プレーヤーがしっかり理解し、実践していくことが国民、消費者の信頼につながる。国交省も社会に向け発信するとともに引っ張っていきたい」と締めくくった。

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