2016/07/06 都道府県/社保未加入業者排除、1次下請にも拡大/20団体が契約禁止措置

【建設工業新聞 7月 6日 1面記事掲載】

都道府県で発注工事の1次下請業者に対する社会保険未加入対策の取り組みが広がっていることが、国土交通省の調査で分かった。6月時点で半分を超す26団体が1次下請から社会保険未加入業者を排除する取り組みを実施。うち20団体は、元請業者に未加入の1次下請業者との契約を禁止する措置を講じていた。国交、総務両省は未加入の下請業者を発注工事から排除するよう都道府県に要請。管内の市区町村への周知も求めており、今後、対策が一段と強化されそうだ。

国交省が5月に行った調査によると、すべての都道府県が発注工事の元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを実施。23団体が未加入の下請業者の排除にも取り組んでいた。

その後、5月下旬から6月下旬まで全国8ブロックで開いた16年度上期ブロック監理課長等会議で、未加入の1次下請業者を排除する取り組みを26団体が実施済み、12団体が検討中であることを確認した。

元請に未加入の1次下請業者との契約を禁止している都道府県は15年3月時点で7団体だったが、上期ブロック監理課長等会議で20団体に増えたことを確認。うち12団体は下請金額の大小にかかわらず、未加入の1次下請業者との契約締結を禁じていた。未加入業者が判明した場合、許可担当部局への通報のほか、入札参加資格の停止や工事成績評定の減点などの措置を講じている。

契約禁止以外の方法で未加入1次下請業者の排除に取り組んでいる6団体では、元請業者に未加入の1次下請業者を使わないことを約束する誓約書を提出させたり、元請業者に下請業者への加入指導を行ってもらったりしていた。

検討中の12団体からは「関係業界団体と意見交換などを行いながら実施の時期や方法などを検討」「未加入の1次下請業者を排除するため契約約款・契約書を7月に改定予定」などの状況が報告された。一方、未実施団体からは「公共工事の執行に支障を来さないようにするため、当面は未加入の下請業者との契約は禁止しない」「直ちに未加入下請業者の排除を行えば、業界の混乱が予想されるため現行は排除の取り組みを行っていない」などの声が出た。

国交省は同会議を通じ、社会保険未加入対策推進で全都道府県と合意。管内の市区町村への支援も求めた。国交、総務両省は6月、自治体に未加入の元請・下請業者を発注工事から排除する措置を講じるよう要請している。

国交省は社会保険加入の目標を「17年度をめどに許可業者単位で100%、労働者単位で製造業並み」と設定。直轄工事では未加入の元請・1次下請業者を排除しており、現在こうした対策を2次下請以下にも広げることを検討している。

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