2016/07/27 政府/経済対策案に建設産業の担い手確保・育成盛る/登録基幹技能者に特別講習

【建設工業新聞 7月 27日 1面記事掲載】

安倍晋三首相の指示で政府が月内の策定を目指す経済対策案の内容が26日、明らかになった。対策には国土交通省が推進する「建設産業の担い手確保・育成」が盛り込まれ、約5万人に上る登録基幹技能者による特別な講習の受講を支援する。現場で後進を指導するためのノウハウとスキルを高め、社会保険加入の意義なども再認識してもらうことで、現場での技能伝承など担い手確保・育成につなげるのが狙いだ。

登録基幹技能者の特別な講習の経費は、経済対策の裏付けとして秋にも編成される補正予算案で手当てする。登録基幹技能者に、将来を担う若者の確保・育成で活躍してもらう。

併せて、技能者がそれぞれの能力などに応じて色分けされたカードを持ち、技能や経験を蓄積できるようにする「建設キャリアアップシステム」と連動させた仕組みも作る計画だ。

建設現場に従事する外国人技能実習生や外国人建設就労者が母国に帰った後も日本のゼネコンや中堅・中小建設業者が施工する海外の建設現場で活躍してもらえるようにする循環スキームも構築。技能訓練を含めたプログラムに基づき、高い技能を身に付けた優秀な外国人材が活躍する機会の創出につなげる。

経済対策ではこのほか、財政投融資を活用したリニア中央新幹線全線開業(東京~大阪間)の最大8年前倒しや、整備新幹線の建設加速も明記。大都市圏環状道路など物流ネットワークの強化や渋滞対策、「開かずの踏切」対策なども盛り込む。

21世紀型のインフラ整備としてこのほか、訪日外国人旅行者を20年に4000万人、30年に6000万人とする目標の達成に向けた大型クルーズ船受け入れ施設の整備や、首都圏空港と地方空港の駐機場整備といった機能強化、鉄道駅・バスターミナルのバリアフリー化を推進。容積率の緩和による旅館やホテルの建設促進も打ち出す。インフラの海外展開支援も明記する。

生産性向上の取り組みを加速するため、国土交通省による建設現場の生産性向上策「i-Construction」の推進も盛り込む。

地方自治体が進める自主的・主体的な地域拠点づくりなどの施設整備を支援する交付金を創設するほか、生活密着型インフラ整備として、鉄道立体交差やホームドアの設置、高齢者や障害者が住みやすい街をつくるバリアフリー化も推進。無電柱化や交通安全対策、上下水道の整備なども盛り込む。

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