2016/09/23 日建連/社保加入推進さらに強化/17年4月から未加入者の入場認めず

【建設工業新聞 9月 23日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は21日の理事会で、社会保険未加入対策を一段と強化する方針を決めた。「特段の理由」がない限り、未加入労働者の現場入場を17年4月1日からは認めないようにし、1次下請業者にも2次以下の下請との再下請負契約の中でこの措置の実効性を高めることを求める。理事会後の記者会見で中村会長は「協力会社と協力し、加入促進を徹底する。会員企業が足並みをそろえて目標達成に取り組みたい」と意欲を見せた。=2面に記者会見

社会保険未加入対策の強化は、17年度までに「企業単位で100%、労働者単位で製造業並み」の加入を目指して国土交通省が取り組みを活発化させていることを受けた措置。目標期限まで半年となるため取り組みを加速させる。

理事会では、「社会保険加入促進要綱」(制定15年1月)と「社会保険の加入促進に関する実施要領」(15年3月)を改正。未加入労働者の入場制限をはじめ対策を追加した。

未加入者の排除ではなく、加入の一層の促進を狙いとしており、要綱、要領を踏まえた対応を会員企業に促す。改正要綱・要領とも22日から適用した。

要綱は、15年4月1日から未加入の1次下請と元下契約を、16年4月1日からは未加入の2次以下の下請業者と再下請負契約をそれぞれ締結しないことなどを既にうたっている。改正内容を見ると、施工への影響を踏まえ、17年4月1日から特段の理由がある場合を除き、未加入労働者の現場入場を元請業者が認めないと明記。加入指導の対象を企業単位と労働者単位の双方とすることも明確化した。

改正要領には、改正要綱の運用に当たっての詳細を追記。入場制限の措置をすべての協力会社構成員や1次下請業者に周知し、元下契約、再下請負契約の条件などで明示することを求めた。未加入の労働者を確認した際、特段の理由がなければ入場を認めないことを元下契約などに定めることも推奨している。

特段の理由は、下請指導ガイドラインの改定に伴って国交省が出した通知に準拠。理由の有無は元請企業が判断し、施工に著しい支障が生じる懸念がある場合を除き、入場できるのは▽60歳以上で厚生年金保険未加入▽伝統建築の修繕など施工に必要な特殊な技能を有し、入場を認めなければ施工が困難▽加入の手続き中-などとした。特段の理由による入場を「特例的な対応」と認識することも定めた。

国交省と全国社会保険労務士会連合会が開設した無料相談窓口の利用や、新規入場者教育での入場制限の周知、再下請負契約の中で法定福利費の内訳明示を指導することも明記した。入場制限が生産力に影響しないよう加入対策を推進する方針で、山内隆司副会長は会見で「全力を挙げる」と決意を示した。

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