2016/10/19 文科省有識者委/技術士制度改正へ提言案/2次試験選択科目を再編・統合

【建設工業新聞 10月 19日 1面記事掲載】

技術士制度の見直しを検討している文部科学省の有識者委員会は18日、最終試験に当たる2次試験の効率化と高度化の両立を柱とする提言案をまとめた。原則7年間の実務経験を受験資格としている2次試験の筆記試験の選択科目数を96から69に再編・統合。必須科目の回答方式をマークシートから記述式に切り替える代わりに、記述式の選択科目は出題数を減らすことを打ち出した。

文科省は技術士制度の改正を慣例で5年ごとに行っている。前回の改正は13年度。技術士法令の改正を経て早ければ18年度の試験から見直しを反映させる方針だ。

提言案は、技術士に求められる資質・能力について、国際エンジニアリング連合(IEA)が運用している指針やAPEC(アジア太平洋経済協力会議)エンジニアのような国際資格を参考にした。柱は2次試験の筆記試験の効率化を図る選択科目の再編・統合と、問題解決能力を的確に把握するための回答方式の全面変更。

選択科目数の見直しでは、上下水道部門の「上下水道及び工業用水道」に「水道環境」も含めて一本化。衛生工学部門の「大気管理」「空気調和」「建築環境」の3科目を新たに「建築物環境衛生管理」として一本化する。一方、計11ある建設部門は科目数を見直さず、内容の一部変更の検討を求めた。

有識者委は、1次試験の大幅な簡素化や現在の認定技術者を対象にした更新制の導入も提言案に盛り込んだ。ただ、文科省はこれらの内容については精査すべき事項が多く一定の周知期間の確保も必要になるとみて、次の制度改正では対応しない中長期的な課題と位置付ける方針だ。

文科相の指定機関として技術士試験業務を行っている日本技術士会(会長・吉田克己日本工営特別顧問)によると、今年3月末時点で登録技術士数は約8・6万人。内訳を計21技術部門別に見ると、最多の約45%を建設部門が占めている。技術士は、建設業法で比較的大規模な工事現場への配置が義務付けられている監理技術者の資格要件の一つになっている。

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