2016/11/11 国交省/ICT活用を土工周辺構造物に拡大/3Dと2D製図ルール整備へ

【建設工業新聞 11月 11日 1面記事掲載】

国土交通省はICT(情報通信技術)施工を、先行導入している土工の周辺構造物に拡大することを検討する。土工と同時に施工することが多い舗装や側溝、擁壁などを対象に想定。土工と共に3次元(3D)による面的管理を現場で試行し、必要に応じて基準類を改定する。設計図面に3Dデータと2次元(2D)図面が混在しているため情報の表現方法の整理なども行う。

10日に同省で開いた「ICT導入協議会」(議長・建山和由立命館大教授)の第3回会合で、ICT施工の普及促進に向けた重点プログラムを提案。ICT施工に関する基準類の見直しや新たに普及を促進する技術・工種、地方自治体への展開などに関する今後の取り組み方針を示し、了承された。

国交省はICT土工を建設現場の生産性向上策「i-Construction」のトップランナー3施策の一つに位置付け、16年度の直轄工事に本格導入。10月20日時点で本年度のICT土工の発注公告は約1080件を見込んでいる。

ICT活用工事の拡大を図るため、導入が進む土工の周辺構造物で面的管理手法の導入を検討する。トータルステーション(TS)や面的計測機器などによる出来形管理を現場で試行し、適用性を確認。必要に応じて出来形管理要領や監督検査要領などを改定して面的管理の環境を整える。

土工は3Dデータ、土工周辺は2D図面と設計図面が混在している。3Dデータの工事完成図を次の工事で設計図書として利用するため、2Dと3Dでの情報の表現方法を整理する。地方整備局の設計要領などに規定される設計書添付図面の作成要領などに相当する製図の運用ルールを年度内に整備する。

ICT土工以外の工種や、人力施工などICT土工の対象外にもICTを活用するため、国交省新技術情報提供システム(NETIS)などで評価された技術のうち有用なICTを抽出。現場実装に向け、各工種の基準類を見直す。施工プロセス全体でさらに生産性を高めるため、ICTの活用場面を拡大する仕組みを作る。具体的には工程マネジメントなどにIoT(モノのインターネット)を活用する方策を検討する。

重点プログラムには、出来形管理基準・要領、ソフトウエアの機能要求仕様規定などを年度内に改定・公表する方針も示された。

ICT施工の普及促進に向けた重点プログラムは次の通り。

【ICT活用工事に関連する基準類のフォローアップ】
〈ICT施工に関連する基準類の見直し〉
▽出来形管理基準(面管理)の検証
▽出来形管理要領の検討
▽2次元図面と混在する状況での完成図書の規定と整理
▽機能要求仕様規定や機能確認ガイドライン等の整備
〈ICT施工の定量的な評価の実施〉
▽ICT活用の効果検証等の実施

【新たに普及を推進する技術・工種に関する目標】
〈新たなICTを導入する仕組み作り〉
▽新たなICTの活用ルール等の提案の枠組み常設
▽ICT土工での無人航空機(UAV)、レーザースキャナー(LP)以外の測定方法の検討・整備
〈ICT活用工事に新たな工種を拡大する仕組み作り〉
▽土工周辺構造物への拡大検討
▽NETIS等から有用な技術を抽出し、新工種の展開ロードマップ策定
〈ICTの活用場面を拡大する仕組み作り〉
▽工程マネジメント等へのIoT活用方策の検討

【ICT活用工事の普及の拡大に関する目標】
〈ユーザーが容易に調達できる環境の整備〉
▽補助金、融資制度、税制優遇措置の設定
〈直轄工事での実施拡大〉
▽積算基準の見直し(施工合理化調査)
▽問い合わせに対する全国窓口(ヘルプデスク)やポータルサイトの開設・運営

【地方公共団体等への展開に関する目標】
〈情報発信の強化〉
▽ICTを積極的に活用した広報活動
〈ICT活用工事の導入現場の公開や支援の充実〉
▽ICT活用工事の積極的な現場公開による水平展開

【ICT活用工事に関連する教育・教習の充実に関する目標】
〈研修の継続と内容の充実〉
▽研修資料の整備。

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