2016/12/06 国交省/新技術の活用拡充/NETIS中核に仕組み作り、発注部局支援も

【建設工業新聞 12月 6日 1面記事掲載】

国土交通省は民間が開発した新技術を公共工事などに積極的に活用する環境整備に乗りだす。新技術情報提供システム(NETIS)を中核に、新技術活用システムを再構築する。現場のニーズを踏まえた要求水準などの提示や新技術活用を促す発注支援体制の整備拡充、現場で試行しない評価の仕組みなどを検討。新技術の開発・改良、活用、検証・評価という好循環を構築する。

17年度から5カ年の国交省技術基本計画に、技術政策の好循環を生み出す環境整備の一環として、「新技術活用システムの再構築」を盛り込む。2日に開いた社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)と交通政策審議会(交政審、同)合同の技術部会で計画の原案が示された。

同省直轄工事でNETISに登録された新技術を1件以上導入した工事は、15年度に発注した工事全体の44・5%と3年連続で40%を超えた。原案では、現在の新技術の活用は受注者が提案する仮設に用いる製品系が多数を占めていると指摘した上で、「工事の目的物に係る工法、製品、材料等の新技術の活用が重要」として、新技術活用システムの改善点を示した。

具体的には、技術開発に関する現場ニーズを提示する。要求水準や評価指標・方法などを設定し、現場が求める技術を開発することで新技術の活用促進を図る。新技術活用の表彰制度も検討する。

新技術を用いる発注部局を支援する現場体制を強化。国交省の地方整備局と北海道開発局、内閣府の沖縄総合事務局で、新技術の選定や仕様書作成など発注業務を支援する組織を整備・拡充する。新技術の選定を事前支援するツールとして、類似技術の比較表も作る。

NETISへの登録や評価の期間短縮も図る。例えば、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)など技術研究開発に関する制度とNETISとを連携。外部制度で評価を受けた新技術を、NETIS登録当初から評価可能な仕組みにする。

NETIS登録技術の評価には通常、5件以上の現場での活用が求められる。直轄工事の現場で14年度から本格的に取り組んでいる「テーマ設定型」の技術公募の場合、1件の現場試行で評価・認定される。現場のニーズ提示で評価指標・方法が設定されたり、テーマ設定型で評価がルール化されたりした新技術を対象に、現場試行によらない評価の仕組みを構築する。

新しい技術の導入は十分慎重に行っても不具合が生じることもあるため、安易に発注担当者を責めず、萎縮せずに新たな挑戦を行う意識を醸成するような環境づくりも進める。

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