2016/12/26 国交省/許可・経審見直し議論本格化/政策会議に3WG設置、地域企業の安定受注策も

【建設工業新聞 12月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は建設産業の10年後を見据え、建設業関連制度の基本的枠組みの検討に入る。生産性向上や働き方などの観点から建設業許可や経営事項審査(経審)の制度を見直す。請負以外の契約形態の法的位置付けや、地域建設企業の安定した受注確保方策なども論点にする。産業政策を議論する有識者会議にワーキンググループ(WG)を年明けにも設置し、検討を本格化させる。

国交省は産業の将来展望や関連制度の基本的な枠組みを検討する有識者会議「建設産業政策会議」(座長・石原邦夫東京海上日動火災保険相談役)の2回目の会合を22日に省内で開催。10年後も建設産業が「生産性」を高めながら「現場力」を維持していくための検討課題を提示した。

請負や許可、経審、入札契約など諸制度の課題を、基本的性格や建設生産システム、生産性向上、働き方、地域建設業などの観点から抽出。委員の意見も踏まえ、議論の内容を▽法制度・許可▽企業評価▽地域建設業-の3テーマに整理。17年1月下旬から各テーマのWGを順次立ち上げて具体的な検討に入る。

法制度・許可WGは許可と請負の二つの制度について議論する。許可制度では企業規模や兼業・専業などを問わない一律の許可要件、ICT(情報通信技術)の進展を踏まえた営業所専任技術者の要件、社会保険加入など処遇改善の観点による許可要件などが論点。許可制度を見直す中で、経営業務管理責任者の配置要件のあり方も議論する。

請負制度は、CM(コンストラクション・マネジメント)など請負以外の契約形態の広がりを踏まえ、建設関連業を建設業法体系にどう位置付けていくか検討。民民契約などに対する法制度上の規律や重層下請構造での品質確保に関する元請責任なども議論する。

企業評価WGの主題は経審。民間工事での活用なども進んでいる経審の性格を今後どのように考えていくか、生産性向上や働き方改革に取り組む企業を評価する観点からの加点・減点項目の見直しや、審査に必要な書類の簡素化などを議論する。経審を含め公共・民間の発注者などに有益な企業評価情報を提供する制度のあり方も考える。

地域建設業WGでは、地域インフラの整備や維持更新・保守点検、災害対応など地域建設業に将来にわたって求められる役割を議論する。受注を安定して確保できるようにする方策も取り上げ、競争性や透明性との関係を整理しながら複数企業・複数事業・複数年度による契約などについて検討。建設企業が事業継承を行うための環境整備についても議論する。

委員からは「下請企業の評価を考えられないか。下請に光を当てるといろいろな課題が顕在化する」「業法の基本理念をしっかり議論し、業法を現代化させることが大事だ」などの意見が出た。このほか建設コンサルタントや建築設計監理のあり方などの論点も示された。

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