2017/02/22 国交省/許可制度見直し議論開始/法制度・許可WGが会合、経営実態踏まえ要件検証

【建設工業新聞 2月 22日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業許可制度の見直しの議論に入った。事業規模や業務内容に応じて経営の実態を把握し、経営の安定性や技術力など許可要件を検討する。経営業務管理責任者の配置要件や営業所専任技術者の要件などが論点。許可制度を見直す中で公共工事と民間工事や工事の専門性など許可の新しい線引きも検討する。技能労働者の果たすべき役割を踏まえた制度的な位置付けも議論する。

建設産業の10年後を見据えて産業政策を議論する有識者会議「建設産業政策会議」の下に設置した「法制度・許可ワーキンググループ(WG)」(座長・大森文彦東洋大教授)の2回目の会合を21日に開催。許認可制度や技能労働者の位置付けなどを議論した。

現行の建設業法に基づく許可制度では、経営業務管理責任者要件と財産的基礎要件で経営の安定性を評価している。国交省は、建設業者の適正性を判断するため、経営の安定性をどのように判断し、それを許可期間中にどう確保し続けるかを論点として提示。技術力を評価する営業所専任技術者の要件については、ICT(情報通信技術)の進展なども考慮しながら営業所の機能や体制を検討する方向性を示した。

現在の業許可は、規模(一般建設業と特定建設業)と地域性(大臣許可と知事許可)の二つの観点で線引きしている。制度検討に当たり、公共・民間工事、不特定多数が利用する施設と利用者が限定される施設、工事の専門性といった新たな切り口も論点に挙げた。

許可要件について委員からは、「マネジメントを主な業務にしている企業と、技能者を直接雇用して自ら現場施工に携わる企業とを同じ要件で考えるべきか」「数が圧倒的に多い小規模企業の経営実態を踏まえた許可要件を考える必要がある」などの意見が出た。事業規模や業務内容に応じた許可要件のあり方が今後の検討課題として提起された。

現行法では500万円未満の建設工事は許可不要となっていることに対し、委員から「住宅リフォームなどで問題が起きており、放置すべきではない」との指摘もあり、発注者保護を目的とする業法に、消費者保護の観点を加えるとの考え方が提案された。

国交省は業法で明確に定義されていない技能労働者を、その役割を踏まえて制度上位置付ける方向性を提示。検討の視点として技能労働者の育成や技能の向上、処遇改善、基幹技能者の位置付けなどを挙げた。

委員からは「技能労働者を定義する際、その目的をどこに置くのか。技術者と技能労働者の書き分けが難しいのでは」と指摘する声が出た。別の委員からは「登録基幹技能者を育成していくといった形で表舞台に出す。それにより技能労働者を直接的に定義せずに位置付けることができるのでは」との提案があった。

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