2017/03/07 石井啓一国交相/残業規制適用除外「見直し」に言及/業界4団体との意見交換で

【建設工業新聞 3月 7日 1面記事掲載】

政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)で検討中の時間外労働規制をめぐり、石井啓一国土交通相は3日に開いた建設業界団体との意見交換会で、建設業が上限規制の適用除外となっている現状について「見直しを行った方が将来の建設業にとってプラスになる」との考えを示した。業界団体に対して「思い切った対応をお願いしたい」と要請。働き方改革の推進に向け、国交省も必要な環境整備に取り組んでいくとの方針も明らかにした。

長時間労働の是正に向けては、政府が罰則付きの時間外労働規制を検討している。先月に働き方改革実現会議で示された事務局案では、36(さぶろく)協定による時間外労働の上限規制の適用が除外されている建設業について、実態を踏まえた対応のあり方を検討するとした。

3日、同省で開いた「建設業の働き方改革の推進や担い手の確保・育成に関する意見交換会」には、業界側から日本建設業連合会(日建連)の中村満義会長と次期会長の山内隆司副会長、全国建設業協会(全建)の近藤晴貞会長、全国中小建設業協会(全中建)の松井守夫会長、建設産業専門団体連合会(建専連)の才賀清二郎会長など4団体の幹部が出席した。

この場で石井国交相は、建設業の働き方改革に関して、時間外労働の上限規制の適用除外を見直すと言及。併せて長時間労働の是正と適切な賃金水準の確保を要請した。

上限規制の適用について、日建連は「賛同する」と明確に表明。その上で、山内副会長は「2020年東京五輪後、相当の期間を置いて段階的に進めてほしい」と要望した。全建の近藤会長は災害対応や除雪作業など地域の守り手としての役割を果たす上で必要な措置を求めるとともに、「適用除外の取り扱いは業界の実態、特に地域の中小建設企業の状況を十分踏まえ、適切に対応してほしい」と述べた。

全中建の松井会長は、現在、適用除外の災害対応について引き続きの除外を要望した上で「(大臣からの要請について)検討のための時間をいただきたい」と語った。建専連の才賀会長は働き方改革について「すぐにスタートではなく時間的な猶予がほしい」と述べた。

他産業と比べて実労働時間が長い現状を踏まえ、石井国交相は「週休2日の推進など、休日確保に向けた取り組みを一層加速してほしい」と要請。これを受け、日建連の山内副会長は「週休2日を早期に実現する決意で取り組む」と表明するとともに、「週休2日による工期の延伸とコストアップを発注者、そして社会全体に受け入れてもらうことが大前提になる」と訴えた。

全建の近藤会長も週休2日の普及には発注者の理解と協力が必要と主張。建専連の才賀会長は国を挙げて取り組む必要性を強調し、日建連と共に週休2日を進める考えを示した。全中建の松井会長は「天候の問題など難しい面もあるが、働き方改革に努力し、しっかり取り組んでいきたい」と表明した。

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