2017/04/11 国交省、厚労省/職人基本法基本計画骨子案/週休2日確保前提に適性工期・代金設定

【建設工業新聞 4月 11日 1面記事掲載】

国土交通、厚生労働両省は、建設工事従事者安全健康確保推進法(建設職人基本法)に基づき閣議決定する基本計画の骨子案を10日に開かれた専門家会議に提示した。安全と健康の確保には、労働安全衛生法に基づく最低基準の順守徹底に加え、適正な請負代金と工期の設定が前提になると明記。特に工期は、週休2日を確保した上で施工可能な日数を適切に設定することが必要だとした。

両省は、骨子案を同日初会合を開いた建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議(委員長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)に提示した。今回の議論を踏まえた内容に対する一般からの意見募集を行った上で、関係省庁で構成する推進会議を5月下旬にも開いて基本計画案をまとめ、政府が6月に閣議決定する。

骨子案では、法律で対象とする官民すべての工事を対象に適正な請負代金や工期の設定を明記するとともに、労働者に該当しない「一人親方」が業務中に死亡している現状も踏まえた特段の対応が必要だと強調。一人親方が労災保険に特別加入している状況を元請が把握するよう促すとした。建設業の働き方改革にも言及。他産業では一般的になっている週休2日の確保が十分ではなく、所定内労働時間が長くなっている現状を踏まえてさらに処遇改善や地位の向上を図り、これらを通じて中長期的に労働者を確保できるようにするとしている。

安全衛生経費については、下請まで適切に支払われることが必要だとし、実態把握とそれを踏まえた施策を検討することを明記。工期は、週休2日や労働時間の削減に向けて発注時から適切に設定するとし、やむを得ない理由で工期内に完了しない場合には適切な工期延長を行う環境を整備するとした。加えて、一時期に工事が過度に集中しないよう、施工時期の平準化も図ることも盛り込んだ。

現場の安全確保では、建設業者が安全衛生に関する対策を計画・実行・評価・改善するマネジメントシステムの構築を促進。ICT(情報通信技術)やドローン(小型無人機)の活用で重機回りの作業を減少させる建設現場の生産性向上策i-Constructionの推進も打ち出した。

加えて、建設業者や建設業従事者の社会保険加入徹底や建設キャリアアップシステムの活用を推進。実効性のある墜落・転落災害防止対策を充実・強化するための調査・検討も行うとしている。

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