2017/04/24 国交省/生コンスランプ12センチ、7月から適用/流動性高め施工しやすく

【建設工業新聞 4月 24日 1面記事掲載】

国土交通省は、生コンクリートの流動性を示すスランプ値の新しい規定方法を、7月1日以降に入札公告する案件から適用する。従来8センチと設定していた土木工事発注時のスランプ値を、より流動性の高い12センチに変更。一般的な現場打ち鉄筋コンクリートによる土木構造物の標準値として特記仕様書に明記する。受注者からの変更協議で、変更が必要と認められた場合は設計変更の対象とする。

現場打ち鉄筋コンクリート構造物のスランプ値の設定などに関する通知文書を、各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局に21日付で送付した。

同省が設置した有識者会議「コンクリート生産性向上検討協議会」(会長・前川宏一東大大学院教授)の下に置いた「流動性を高めたコンクリートの活用検討委員会」(委員長・橋本親典徳島大大学院教授、事務局・日本建設業連合会)が、スランプ値を12センチ以上にしたコンクリートを用いる場合の技術的な留意事項などをまとめたガイドラインを3月に策定した。

今回の通知文書では、ガイドラインを基本とし、構造物の種類、部材の種類と大きさ、配筋条件、コンクリートの運搬、打ち込み、締め固めなどの作業条件を適切に考慮した上でスランプ値を設定するよう要請。一般的な鉄筋コンクリート構造物(コンクリート舗装工、現場打ち杭などの水中コンクリート、トンネル覆工を除く)はスランプ12センチを基準値として設定する。

新しい規定方法の適用によって、流動性の高いコンクリートの活用を構造物の設計段階から検討できるようになる。

国交省は新技術の導入促進や、施工の自由度を高め施工者の創意工夫を促すことを目的に、従来の仕様規定を性能規定に見直すことを検討している。

今回、スランプを12センチと設定するのは、性能規定を見据えた暫定措置という位置付けになる。今後、基準類や検査方法などの改定に向けた課題の洗い出しを進めていく考えだ。

現場打ちコンクリートの土木構造物はスランプ8センチで工事が発注されるのが一般的だが、耐震性能の要求水準が高まり、配筋が高密度化しているため8センチでは打設効率が低下。充てん不足による品質低下も懸念されている。土木学会の調査によると、8センチで発注された工事でも約8割は12センチか15センチに変更されていることが分かっている。

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