2017/05/24 国交省/技術者配置・専任要件の基本的枠組み案/主任技術者、単体からチーム配置へ

【建設工業新聞 5月 23日 1面記事掲載】

国土交通省は監理・主任技術者の役割に応じた配置・専任要件の基本的枠組みの検討に入る。関係者間の規律を、「発注者と元請」の間と、「元請と下請」「下請と下請」の間で別々に規定。元請と下請の主任技術者を資格要件も含め明確に区分けする。単一業種の複数企業チームの中で主任技術者が適正な施工管理ができる場合は、企業単位での主任技術者の配置を例外的に求めないようにすることも検討する。

19日に開いた「適正な施工確保のための技術者制度検討会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で、技術者の役割に応じた配置・専任要件の基本的枠組みの再検討に向けた方向性を示した。

国交省は配置・専任要件の検討に当たり、施工体制や技術者の役割などの現状を把握する調査を実施。土木と建築、都市部と地方部、公共発注と民間発注などに分けて分析した結果、それぞれ規模などに応じて異なるものの、明らかな特性として異なる内容はないことを確認。制度設計については、すべて共通のものとして基本形となる制度を検討することにした。

建設業の請負契約は、「発注者と元請」の間を主眼に、「元請と下請」「下請と下請」の間もすべて同一の規律になっているが、技術者制度については、「発注者と元請」と、現場に従事する「元請と下請」「下請と下請」を必ずしも同一の観点で制度設計する必要はないとの論点を提示した。

委員からは「元請と下請、下請と下請はもの作りのチーム。この関係を基本的な発想として検討していく価値は十分にある」などの意見が出た。

国交省は現場を構成する関係者(監理・主任技術者、職長、登録基幹技能者、現場代理人)の位置付けや定義、役割を整理。適正な施工を確保する上でのキーパーソンを元請の監理技術者、下請の主任技術者、下請の職長の3者とした。

現行の建設業法では、施工体制に入るすべての建設業者に主任技術者の配置を求めているが、適正な施工の確保という観点から、単一業種の複数企業チームの中で、適正な能力を持った主任技術者が配置されていれば、個々の下請企業単位での主任技術者の配置を例外的に求めないようにするという検討の方向性を示した。

現行法では、元請は下請金額4000万円以上(建築一式は6000万円)の建設工事で監理技術者、下請金額4000万円未満(同)の工事で主任技術者の配置が必要。請負金額が3500万円(建築一式は7000万円)以上の公共性のある重要な建設工事には監理・主任技術者の専任を求めている。

こうした金額の多寡による監理・主任技術者の境界のあり方も検討。主任技術者については、元請と下請でより明確に整理していくことも提案した。

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