2017/08/08 中建審/契約約款を改正・勧告/施工業者の社保加入限定を新設、契約解除違約金条項も

【建設工業新聞 8月 8日 1面記事掲載】

中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関、石原邦夫会長)は、建設工事標準請負契約約款を改正し、公共発注機関や建設業団体などに勧告した。公共工事の契約約款に、施工業者を下請を含め社会保険加入企業に限定する条文を新設したのが柱。受注者側から契約を解除された場合の違約金に関する規定も追加した。約款改正は2010年度以来、7年ぶり。

中建審は、7月25日に開いた総会で国交省が提示した約款改正案を了承。同日付で実施勧告を行った。今回の改正は、建設産業の将来展望や建設業関連制度の基本的枠組みを検討してきた同省の有識者会議「建設産業政策会議」がまとめた政策提言の具体策の初弾に位置付けられている。

公共工事の約款改正では、元請企業に対し、2次以下も含めた下請を社会保険加入企業に限定する規定を新設した。自治体の工事発注の実情に配慮し、2次以下の下請を含め社会保険加入企業に限定する場合は▽2次以下にも違約罰を科す▽1次に限り違約罰を科す▽違約罰は科さない、1次下請だけ加入企業に限定する場合は▽違約罰を科す▽違約罰を科さない-の計5パターンから条文を選択できるようにした。

国交省は直轄工事の契約書で「2次以下を含め加入企業に限定・2次以下にも違約罰を科す」との条文を採用する。10月の適用に向けて準備を進めている。

公共工事、民間建設工事(大規模工事)、民間建設工事(小規模工事)、下請契約の四つの約款すべてを対象に、受注者が作成して発注者に提出する請負代金内訳書に、法定福利費を内訳明示することを標準化した。社会保険加入費用の原資となる法定福利費を内訳書に明示することで、発注者への理解促進の一助とするのが狙いだ。

公共工事の約款には、受注者側から契約解除された場合の違約金に関する規定を加える。受注者に代わる破産管財人や管財人、再生債権者などが契約を解除しても適用される。

公共工事の約款の勧告を送付したのは、国、地方自治体、特殊法人、独立行政法人などのほか、電力・ガス・鉄道など常時建設工事を発注する民間企業。四つの約款の勧告先は、国交相、都道府県知事、建設業106団体。民間約款は、不動産協会、全国住宅産業協会、住宅生産団体連合会の3団体に勧告した。

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