2018/05/18 国交省有識者会議/降雪期の道路交通確保策提言/除雪作業の適正利潤確保を

【建設工業新聞 5月 17日 2面記事掲載】

降雪期の道路交通確保策を検討してきた国土交通省の有識者会議(委員長・石田東生筑波大名誉教授)は16日、地域建設業者の確保を柱とする政策提言をまとめた。全国的に地域建設業者で除雪機械を扱える熟練のオペレーターの減少や高齢化が進む中、地域の守り手として地域建設業者を維持・育成していくにはまず経営の安定化が不可欠と判断。除雪作業での適正な利潤確保に向け、契約方法の改善と適正な予定価格の設定を求めた。

契約方法の改善では、具体的に他の工事との一体発注や複数年契約の導入を提言。適正な予定価格の設定では、積算方法の見直しを求めた。いずれも地方自治体が公共事業として発注する道路除雪作業を念頭に置いている。

国交省は提言を受け、道路除雪作業の契約方法改善や適正な予定価格設定などを自治体に呼び掛け、次の降雪期までに対応するよう求める方針だ。

有識者会議は2月下旬に発足。同上旬に記録的な大雪に見舞われた福井県を通る国道8号で最大約1500台を巻き込んだ最長3日間にわたる車両立ち往生が発生したのを教訓に、着実かつ効果的な道路除雪作業の在り方を話し合ってきた。この福井県の道路除雪作業では地元建設業者の人材が不足し、限られた熟練の除雪機械オペレーターが不眠不休で作業に従事するケースが多発。除雪作業中の死亡事故も発生し、その一因には過労があるとみられている。

《降雪期の道路交通確保策提言要旨》

▽地域建設業者の確保。除雪作業の契約方法改善や適正な予定価格設定

▽道路ネットワーク全体への影響最小化。高速道路や主要国道の4車線化、付加車線・登坂車線設置、バイパスの迂回(うかい)路整備など

▽リスク箇所の機能強化。カメラ増設や消融雪施設の整備、除雪拠点の新設・更新など

▽通行止め時の車両待機場所確保。サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の拡張や待機所整備

▽除排雪や融雪への新技術積極活用。国は低コストで効果の高い技術開発促進、新技術に対応した除雪作業の契約方法や仕様・基準検討など。

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