2019/09/02 石井啓一国交相/日建連ら4団体と意見交換/新しい建設産業の魅力創造・発信を

【建設工業新聞 8月 30日 1面記事掲載】

石井啓一国土交通相は29日に建設業4団体と意見交換し、新・担い手3法の趣旨を踏まえ働き方改革や生産性向上の取り組みを一層進め、「i-Constructionと建設キャリアアップシステム(CCUS)が相まって、若い入職者の確保にも資する新しい建設産業の魅力を創造、発信する」との考えを示した。「労務費見積り尊重宣言」を促進するモデル工事やCCUSの効果を検証するモデル工事を実施する方針も明らかにした。

意見交換会には、日本建設業連合会(日建連)の山内隆司会長と宮本洋一副会長、全国建設業協会(全建)の近藤晴貞会長、全国中小建設業協会(全中建)の土志田領司会長、建設産業専門団体連合会(建専連)の才賀清二郎会長ら4団体の幹部が出席した。

席上、石井国交相はCCUSの目的を「若い世代にキャリアパスと処遇の見通しを示し、技能と経験に応じ給与を引き上げ、建設産業全体の価格交渉力や競争力を向上させること」と説明。国交省と建設業界を挙げてCCUSを「業界全体の制度インフラ」として育て、定着させる段階にあるとの認識を示した。

加入した技能者と企業のメリットをさらに高め、分かりやすく発信していくことが重要と強調。国交省では今後、経営事項審査(経審)など評価方法の見直しや、直轄工事でCCUSの検証を行うモデル工事の実施などに取り組む考えを表明した。その上で「それぞれの立場で、あるいは連携してメリットを高める具体策を提案も含め検討、実施してほしい」と要請した。

青木由行土地・建設産業局長は、CCUSを活用した技能者の「能力評価制度」や専門工事業者の施工能力の「見える化制度」といった施策展開を説明。メリットを高める方策について「官発注や民発注を通じて(技能者の)レベルが上がるに従って着実に給与が上昇することを見えるようなシステムや取り組みが必要になる。レベルの高い技能者を雇用、輩出した企業が受注に優位になり、その企業がレベルに応じた給与を支払えるような請負金額を受け取るシステムや取り組みも必要だ」と述べた。

□CCUS普及へ全力□
石井国交相との意見交換で日建連の山内会長は、建設業の将来の担い手確保に不可欠な業界横断のインフラとの認識を示し、「各団体の皆さんと力を合わせてCCUSの普及をスピードアップさせていきたい」と意欲を見せた。国交省が検討しているモデル工事などを「起爆剤」と評し、「入札時の加点や工事成績評定への反映などをまずは来年度から取り入れてもらいたい」と要請。公共事業のインセンティブの付与や、直轄工事の全技能者への登録義務付けなどを求めた。

全建の近藤会長は今秋の地域懇談会でCCUSをテーマにすると表明。会議を通じて「システムの利用促進につなげるための問題解決とし、システムに関する要望や意見、提言などについて幅広く意見交換させていただきたい」と述べた。

全中建の土志田会長は、小規模工事でカードリーダーを置くことが難しいとしながらも「前向きに将来の姿を考えながら、しっかりと取り組んでいきたい」と強調。10~12月に開くブロック会議でCCUSを取り上げることも表明した。

建専連の才賀会長は「直轄工事からカードリーダーを置き、カードを持たなければ建設現場に入れないとしてほしい」と要請。カード取得の意欲を啓発するため、レベル1(見習い)~3(職長)のメリット、デメリットを打ち出すよう求めた。

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