2020/02/25 全中建/時間外労働「減少傾向」が6割超/会員実態調査結果、中小の働き方改革が前進

【建設工業新聞  2月 25日 1面記事掲載】

中小建設企業で働き方改革が進んでいる。全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)が実施した会員の実態アンケートによると、時間外労働が「減少傾向」と回答した企業の割合は66・4%だった。昨年のアンケートと設問が異なるため、単純に比較はできないが、事務局は「前年より改善している」と受け止めている。

昨年4月施行の改正労働基準法で、建設業には2024年度から時間外労働の罰則付き上限規制が適用され、月45時間・年360時間が原則となる。時間外労働の実態について回答した667社のうち、「減少傾向」と回答したのは443社だった。時間外労働が「なし」と回答した91社と合わせると8割を占めている。2割に当たる133社が「大変多い」と回答した。

時間外労働の主な発生原因(複数回答可)には、多い順に「煩雑な書類作成」(回答割合30・5%)、「人手不足」(27・3%)、「自然条件(雨天など)」(16・1%)、「適正な工期の発注でない」(13・8%)が挙がった。

週休2日関連の設問では、週休2日に「取り組んでいる」(36・3%)と「今後取り組むことを検討している」(54・3%)を合わせると9割に達した。「今後も取り組む予定はない」(9・4%)と回答した企業からは、「日給月給の作業員の給与が減少する」「現場作業は天候による遅れの可能性が高い。忙しくない時に休んでもらうしかないのが現状」といった意見が寄せられた。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入状況も質問した。「導入しない」(43・6%)と「導入予定」(43・2%)は同程度で、「導入済み」(13・2%)は1割にとどまる。

全中建によるCCUSの説明会の開催を「希望しない」が全体の58・9%と「希望する」の41・1%を上回る。希望しない理由として、「小規模事業者ではメリットがあるとは思えない」「技術者、職人などの情報が流れ、引き抜きに合う可能性がある」といった意見があった。

昨年4~10月の受注状況は、前年に比べ「増加した」が39・2%。前年の設問の「大幅に増加した」(3・8%)と「多少増加した」(20・2%)の合計を上回っていることから、事務局は「全体として増加傾向が見られる」としている。

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