2020/04/15 新型コロナウイルス/ゼネコン各社、対応に苦慮/感染歯止めかからず、現場の状況深刻

【建設工業新聞  4月 15日 1面記事掲載】

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからずゼネコン各社が対応に苦慮している。これまで「発注者からの中止要請がない限り工事は継続する」という姿勢を貫いてきたが、事態の深刻さが増し改めて対応を協議している社は多い。工事の中止を視野に発注者との協議に乗り出すゼネコンも出てきているが、「発注者はあくまでも工期優先。中止する気配がない」(ゼネコン関係者)というケースも少なくない。

清水建設は13日に緊急事態宣言の対象地域で現場閉所を発表した。鉄建建設も同日、ホームページ(HP)を更新し感染拡大防止策を強化すると公表した。緊急事態宣言の対象となっている東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県では内勤部門などの社員を原則在宅勤務とし、同時に発注者の意向に応じて工事の中止も検討していくとした。

前田建設も同日HPで対策の強化を発表した。本社と作業所で感染者が発生したことを受け、テレワークする本社社員の比率を93%に引き上げた。感染者が出た現場では工事の継続可否を発注者と協議している。

緊急事態宣言が発令された7日以降、ゼネコン各社は「発注者からの中止要請があれば応じる」との方針をとってきた。ただ、実際のところは「発注者からの中止の要請はほとんどない状況で、工事を継続してきた」(中堅ゼネコン)。特にマンション建設などの場合は「購入者がいて入居時期が決まっていると、どうしても工期を遅らせられない」ケースもある。

あるゼネコン関係者は「新型コロナの影響で中国からトイレやエアコンも調達できていない上に、この状況でも工期を伸ばしてもらえない」と厳しい現場の実情を明かす。状況が深刻化するにつれて、建設現場の近隣住民から稼働を問題視されるケースもあるという。「刻々と状況が変わっているので日々対応を検討している」(準大手ゼネコン)企業は少なくない。

14日時点で工事の原則中止を打ち出しているのは西松建設、東急建設、清水建設の3社。清水建設は7都府県の約500現場で中止を前提に発注者と協議を開始している。

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