2020/05/15 建設経済研/魅力ある建設産業へ今後の方向性示す/「働く場」の魅力必要

【建設工業新聞  5月 15日 2面記事掲載】

◇働き方改革「最大の好機」

建設経済研究所(小澤敬市理事長)は、建設業を魅力ある産業にするための課題と今後の方向性をまとめた。建設業に「ものづくり」の魅力はあるが「働く場」としての魅力がなければ、人口減少下で担い手は来ないと指摘。選ばれる産業になるため行政や業界団体、発注者など関係者が一体となり、建設業の改革に本気で取り組むよう求めた。社会全体で働き方改革を進めている今が「最大の好機だ」とした。

人手不足が深刻化する中、人材は他産業との獲得競争になっている。多くの人材に建設業へ入職してもらうには、時間効率の高い働き方を目指し、業務改善や働く時間・場所の柔軟化、生産性を高める取り組みなどを強力に推進。改革の妨げとなるような業界慣習を変えて、建設業全体を働きやすい業界にしていくことは避けて通れないとした。

建設業に入職し育った人材が妊娠・出産、育児、介護、治療といったライフイベントを経ても建設業で働き続けられるようにするため、多様な両立支援が欠かせないとも主張している。ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の支援を通じて、社員間で助け合い、協力し合う風土がつくれるとした。

女性、高齢者、外国人といった多様な人材が、建設業の担い手になっていくことも期待される。人材育成や技能伝承の手法を強化・効率化し、一人一人がやりがいを実感して個々人の能力を向上させる。多様な人材が活躍できるよう育っていかなければいけないとした。

担い手が自然に確保されるという状況は望めない。建設業の先進的な取り組みを踏まえ「ヒトが資本の建設業がもっとヒトに投資する産業になっていく」というメッセージは社会に響くと主張。企業規模や業種を問わず各企業が改革を進め積み重ねる。「ものづくり」という楽しさと相まって、建設業の魅力が向上し、働く人の満足度も高まる。「どうすれば変えられるか」という発想と行動力を建設産業が持ち続けるよう訴えている。

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