2020/08/11 国交省/パワーアシストスーツ建設現場導入へ検討着手/性能評価の指標・手法検討

【建設工業新聞  8月 7日 2面記事掲載】

国土交通省は物流や農作業などの分野で実用化が進む「パワーアシストスーツ」について、建設現場への円滑な導入に向け検討を始めた。活用効果などを定量的に評価可能な指標や手法を検討し、試験施工や試行評価を実施。2021年度以降、人間拡張技術の開発・導入の在り方を示すロードマップを策定する。早期の社会実装に向けて環境を整備する。

国交省はICT(情報通信技術)導入協議会の下に産学官で構成する「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するワーキンググループ(WG)」を設置し、5日に東京都内で初会合を開いた。WG長には油田信一芝浦工業大学SIT総合研究所客員教授が就いた。

20年度はパワーアシストスーツの性能評価手法を検討し、模擬環境下の試験施工で効果を把握する。国交省は現場検証方法として▽支援される動作(歩行、重量物の上げ下げ・立ち上がり、上向き作業、中腰作業など)▽適用可能かつ効果が見込まれる工種(鉄筋工、人力除雪工、付帯構造物設置工、災害復旧〈土のう設置〉など)▽試験条件(被験者の情報〈性別、年齢、従事歴など〉、天候、気象条件など)▽指数・指標(作業サイクルタイム、被験者アンケートなど)-の4項目を提案した。

パワーアシストスーツに関する情報提供を目的に、6日に技術情報の募集を始めた。一般に調達できるパワーアシストスーツの技術や、建設施工の現場に導入する際の留意点などについて、企業や研究機関など広く情報提供を要請。9月4日まで受け付ける。

WGは10、11月の会合でパワーアシストスーツの利活用場面(ユースケース)の設定と、性能評価の指標や手法を検討。実証現場に21年1月立ち会い、同2月に検証の総括や手法の改善、今後の進め方を議論する。

21年度以降も、現場ニーズの変化や技術の進展などに応じて性能評価手法などを再検討。徐々に高度な試験施工を実施し、評価を行う。こうして得た結果を踏まえ、直轄事業での導入促進手法といった制度整備に着手する。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、MR(複合現実)といった「xR」技術だけでなく、アバター(分身)やハプティクス(触覚疑似再現)など人間拡張技術の開発・導入に関する中長期のロードマップを検討、策定する。

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