2020/08/25 CCUS-追加開発費負担、業界団体が対応苦慮/日建連と全建は9月に方針決定

【建設工業新聞  8月 25日 1面記事掲載】

建設キャリアアップシステム(CCUS)の追加開発費用の負担を巡り業界が対応に苦慮している。国土交通省は業界団体に16億円の出えんを要請。前回は「最初で最後の要請」という前提で協力したが、わずか1年で計画が破綻したため運営に対する不信感が拭えず、各団体とも会員間で意見が分かれている。日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)と全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は9月18日に開く理事会で対応方針を最終決定する見通しだ。

CCUSは運用初年度の支出で想定を上回る費用がかかり、運営の前提だった収支バランスが崩れ財源不足になると判明した。現在、加入者が増えれば増えるほど赤字が拡大している状況。初期投資額が過少だったことや要件定義書の不備、詳細未定義が多く、システムの追加開発を余儀なくされ支出増につながった。

国交省は財源不足をカバーするために料金引き上げを決断。近く開かれるCCUS運営協議会の総会で10月からの新料金体系移行の了承を得たい考えだ。出えん金は各団体との個別協議に移った。

全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)は新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえ、来月予定していた理事会を中止。出えんするかどうかの判断を書面決議に切り替えた。幹部の一人は「支えていかないといけない」と協力する姿勢を見せる。だが「反対も想定される」とし、決議では「出えんする方向」といった方針を打ち出す程度にとどめる考えを示す。

建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)の幹部は「できる限り協力しなければならないと考えているものの、会員団体の中には(システム上の)能力評価が固まっていない業種もあり、そこから負担してもらっていいのか」と対応を決めかねている現状を打ち明ける。会員団体に負担してもらう場合、各団体の機関決定が必要になるため、結論までに一定の時間がかかりそうだ。

システム開発に当たり当初業界が拠出したのは10億5000万円。日建連と全建、全中建、建専連、日本空調衛生工事業協会(日空衛、長谷川勉会長)、日本電設工業協会(電設協、後藤清会長)、住宅生産団体連合会(住団連、阿部俊則会長)、全建総連(吉田三男中央執行委員長)、保証会社、建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)の10者で負担した。

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