2020/10/15 国交省/民間工事での電子契約普及促進/基準適合方法を整理へ、20年度内に報告書

【建設工業新聞  10月 15日 1面記事掲載】

国土交通省は、民間工事で請負契約の電子化を後押しするため、環境整備に取り組む。市販のクラウド型契約サービスの動向や関係法令の整備状況を調査。建設業法で定める技術的基準に適合する契約方法を整理し、年度内に調査報告書をまとめる。建設現場だけでなくオフィスの事務作業も効率化し、建設業界全体の働き方改革につなげる考えだ。

調査では、電子契約を巡る法令整備の最新状況や判例を調べる。電子契約を安全・安心に行うために、業法の施行規則で求めている▽非改ざん性▽見読性▽本人性-という三つの技術的基準を満たす契約方法を提示する。民間工事に電子契約を導入した場合の業務時間の短縮効果を調査することも検討する。

国交省は調査業務の委託先を決める企画競争を実施。5日付で建設産業経理研究機構(東京都港区、安藤英義代表理事)を選定した。業務成果としてまとめる調査報告書を民間が電子契約を検討する場合の参考にしてもらう。履行期限は2021年3月26日。

工事契約のクラウドサービスを提供する会社は、自社のシステムが業法の技術的基準に適合しているか確認する場合、政府の「グレーゾーン解消制度」に照会し、国交、経済産業両省から合否の回答を得ている。国交省が調査報告書をまとめ技術的基準に適合するサービスを示すことで、適合性を個別に確認する必要がなくなる。提供企業、所管省庁ともに業務の効率化につながる。

建設工事請負契約の締結は、契約事項を記載した書面に署名または記名押印して交付するのが原則。ただ業法施行規則に規定する技術的基準に適合する場合は電子契約に代替できる。既に直轄工事・業務では、19年8月から本官発注、本年度から分任官発注で電子契約を原則化している。

改正労働基準法の施行により、建設業も24年度から時間外労働の罰則付き上限規制が適用される。民間工事で契約手続きの効率を高め、働き方改革を一段と推進するため、電子契約が導入しやすい環境を整える。

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