2020/11/26 東日本高速会社/自動除雪車、22年度の本格運用めざす/降雪時の動作チェックへ

【建設工業新聞  11月 26日 4面記事掲載】

東日本高速道路会社は、自動化したロータリー除雪車と除雪トラックの本格運用を2022年度から始める。ロータリー除雪車は北海道支社、除雪トラックは新潟支社がそれぞれ研究開発を推進中。北海道支社はオペレーターが運転操作を行わずにロータリー除雪車を自律走行させられることを確認した。今冬に降雪時の動作をテストフィールドでチェックし、来冬には規制措置を講じた上で本線で試験運用する。

北海道支社は25日、北海道夕張市のテストフィールドで自律走行するロータリー除雪車を報道陣に公開した。準天頂衛星システム「みちびき」を活用した位置情報と車両の作動制御が連動しており、本線や非常電話、集水ますといった構造物の地図情報に基づいて自律走行する。オペレーターが運転操作を行わず、本線にはない急曲線区間も走行が可能。地図情報との誤差は、本線にある白線の幅と同等の20センチにとどまる。

除雪は、吹雪で視界がほとんどない状況でも利用者の安全を確保するために実施する必要があり、運転歴10年以上のオペレーターでも危険を感じることがある。3センチ程度の降雪で作業に着手し、降雪が続けば同じ区間を1日に4回、昼夜で除雪する。道路構造物と雪を飛ばす位置を夏や作業前に確認する。降雪や路面の劣化で平たんではなくなった区間は、車両や構造物が破損する危険性が高まる。

ロータリー除雪車は作業時に時速3~5キロで走行する。除雪トラックが路肩に寄せた雪を前方のオーガーでかき込み、方向を変えられるシューターから排出する。運転の担当者とシューターなどの操作担当者の2人が乗車する。22年度には3次元ベースの地図情報に基づいて車両を自律走行させ、操作も自動化させる。運転席には地図情報との誤差などを表示するモニターを備える。乗車は1人で、基地から作業場所までの運転や、停止車両など地図情報にない状況への対応を担う。

除雪車両のオペレーターは熟練技能が必要で、5年程度の経験が求められる。担い手が減り、同社は「雪道の安全安心の確保の重要性が増す。効率化、省力化がポイント」(市川敦史北海道支社技術部長)として、自動化技術の開発を急いでいる。自動化した特殊車両は世界でも珍しく、同支社は雪氷高度化システム「ASNOS(アスノス)」として実用化を目指す。

新潟支社は、除雪トラックのアタッチメントの「除雪プラウ」の上げ下げを自動化する技術や、走行位置、橋梁ジョイントまでの距離をオペレーターに知らせる技術などを開発中。東日本高速会社は両支社が開発中の車両を管内に配備し、利用者と除雪作業関係者の安全性を高める。

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