2021/02/12 国交省/スランプ値、12センチ標準に/コンクリ工の生産性向上へ設計成果に明記

【建設工業新聞  2月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は土木構造物を対象に、現場打ち、プレキャスト(PCa)の両面からコンクリート工の生産性を高める。生コンクリートの流動性を示すスランプ値の標準を12センチとし、設計業務の成果品に原則、施工時のスランプ値として記入する。特殊車両(特車)で運搬可能な規格の構造物は原則PCa化する。設計・施工段階での生産性向上の取り組みとして、地方整備局などに年度内にも通知する。

有識者会議「コンクリート生産性向上検討協議会」(会長・前川宏一横浜国立大学都市イノベーション研究院教授)の第10回会合を、9日にウェブ会議で開催。現場打ちの効率化やPCa製品の適用拡大に向けた取り組みを提示した。

流動性を高めたコンクリート(スランプ12センチ以上)を用いる場合の技術的な留意事項などをまとめたガイドラインを2017年3月に策定。一般的なRC構造物をスランプ12センチを基準値として設定するよう同年4月に地方整備局などに通知した。採用率は、19年9月時点でRC構造物全体で工事41%、設計17%。依然として従来のスランプ8センチでの発注事例が多い。

工事発注段階で流動性を高めたコンクリートの使用を浸透させるため、設計業務の成果品にスランプ値の記入を原則化する。一般的な構造物はスランプ12センチを基本とし、過密配筋など特殊な構造物は土木学会のコンクリート標準示方書(施工編)などを参考に別途検討する。設計段階のスランプ設定で地方整備局が独自に定めた指針などは適用可能。施工時に施工者自身が最適なスランプ値を選定し、施工することもできる。

中型構造物へのPCa製品の導入促進を目指し、特車で運搬可能な規格については原則、PCa化する方針。運搬に当たっては▽道路法、道路交通法など関係法令の順守▽事前の輸送ルート調査の徹底(重量制限や道路線形の確認など)▽車上での輸送物の固定方法や養生方法▽現場周辺の情報確認(待機場所の有無など)-といった留意事項も整理した。

国交省は20年度の検討を踏まえ、流動性を高めたコンクリートの活用では設計段階でスランプ値の記載、PCaの適用拡大では特車で運搬できる規格のPCa化について地方整備局に周知する。

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