2021/03/18 東京都財務局/下請契約で初の実態調査結果/一部改善必要も「おおむね適切」

【建設工業新聞  3月 18日 4面記事掲載】

東京都財務局は、同局発注工事を対象とした下請契約の実態把握調査の結果を公表した。同局は「全体としてはおおむね適切な契約関係が構築されている」と調査結果を総括。一方で、見積もり依頼時の見積もり条件の提示内容など一部の手続きで不十分な状況にあることも明らかになった。今後、建設関連業界団体を通じた元請企業への調査結果の周知や、取り組みの改善要請などを検討するという。

都はこれまでも業界団体を通じ元請企業に下請契約の適正化を文書で要請してきたが、実態調査は初めて。調査対象は2019年度に同局が契約締結事務を担当した工事のうち、工期末が今年1月以降の全工事。昨年10月下旬~12月中旬に各工事を元請として受注した企業242者にアンケートへの協力を依頼し、206者から回答を得た。

調査項目は下請契約の締結方法や下請代金の支払い方法、社会保険未加入対策などに関する24項目=表参照。ほとんどの項目で適正または望ましいとされる回答がほぼ9割を超えた。ただし「いくつかの項目で元請負人の理解が十分でないと見受けられるものもあった」(同局)とした。

例えば見積もり依頼時の見積もり条件は、契約書に記載すべき14項目のうち請負代金を除いた13項目を、できる限り具体的に提示しなければならない。だが工事内容と工期をほぼすべての元請が提示していたものの、それ以外は7割未満の低水準にとどまり、5割に満たないのも7項目あった。追加・変更契約の締結時期は対象工事の着手前に行う必要があるが、着手後に締結したとの回答が34%あった。

下請代金の支払いは、諸経費の相殺や手形払いのコスト負担で一部工事の処理方法などが不十分だった。建設廃棄物の処理費用などの諸経費を下請代金から相殺する場合、具体的内容を契約書面に明記していなかったのは21%、手形を現金化する際の割引料などのコスト負担について協議せず、一方的に下請の負担としていたのは30%を占めた。

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