2021/05/26 内閣府有識者会議/防災・減災、国土強靱化の新時代実現へ提言/脆弱性評価手法を検討

【建設工業新聞  5月 26日 1面記事掲載】

内閣府が設置した有識者会議が25日に「防災・減災、国土強靱化新時代の実現のための提言」をまとめた。事前防災対策では、本年度にスタートした「防災・減災、国土強靱化のための加速化5か年対策」を着実に推進。地震や水害など具体的な災害を想定した地域ごとの脆弱(ぜいじゃく)性評価手法を構築し、対策の精度を高める。防災のデジタル化や教育の充実に向けた施策も提案。提言の内容を実行して国民の生命と財産を災害から守るよう求めた。

同日の記者会見で、小此木八郎国土強靱化・防災担当相は「防災分野全般の画期的な取り組みがまとまった。わが国が『防災・減災、国土強靱化新時代』を迎えたことを宣言する」と表明した。提言内容を政府が6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」や「成長戦略実行計画」、21年度「国土強靱化年次計画」に反映。22年度予算の概算要求に施策を盛り込み必要な予算を確保する。

防災・減災、国土強靱化に関する▽デジタル・防災技術WG〈ワーキンググループ〉(未来構想チーム)▽同(社会実装チーム)▽事前防災・複合災害WG▽防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)▽同(災害ボランティアチーム)-が策定した提言を束ねた。

事前防災・複合災害WGは提言の柱の一つに「脆弱性評価の実施」を据えた。評価では想定災害に対する地域の強みや弱み、広域的な影響を科学的に分析し見える化する。地域にとって有効な防災対策の立案につなげる。23年度から5カ年の次期「国土強靱化基本計画」までに評価手法を確立する。

会見で同WGの藤井聡座長(京都大学大学院工学研究科教授)は19年秋に襲来した台風19号の被害想定で甘さを指摘。「より真剣に脆弱性を評価し、国土強靱化をやるべきだ」と強調した。

スーパー台風による東京湾の高潮対策や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震への対策に注力することや、あらゆる関係者が協働する「流域治水」の取り組みの加速策も提言した。

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