2021/06/16 国交省、総務省/技能者処遇改善へ自治体に要請/事業量確保やダンピング排除

【建設工業新聞  6月 16日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は15日、都道府県と政令指定都市に対し、技能労働者の処遇改善に向け「安定的・持続的な公共投資の確保」など3項目を推進するよう要請した。工事受注者が適正な利潤が確保できる環境を整え、技能者の賃金引き上げにつなげる。国交省が3月末に建設業主要4団体と申し合わせた2021年に「おおむね2%以上」の賃金上昇率の実現を目指し、地方自治体への働き掛けを強める。=2面に関連記事

公共投資の確保以外で求めたのは「適正な予定価格の設定と適切な契約変更の徹底」と「ダンピング対策のさらなる徹底」。要請文書は公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく措置で、国交省不動産・建設経済局建設業課長と総務省自治行政局行政課長の連名で送付した。都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)などを通じ市町村にも直接働き掛ける。

公共投資の安定的・持続的な確保を自治体に要請するのは初めて。建設会社が将来の見通しを立てながら技能者を安定雇用するために必要と訴えた。計画的な発注や、中長期的な公共工事の発注見通しを作成し公表することも求めた。

予定価格の設定に当たっては、設計金額の一部を切り下げる「歩切り」の根絶などを改めて働き掛ける。見積もりを参考にして価格を設定する場合は妥当性の確認を徹底し、発注者が独自に乗率などを設定する運用をやめるよう注意喚起する。事後の契約で予定価格を類推される恐れがない範囲で積算内訳(工事設計書)を適時公表し、入札契約の透明性を確保することも重要とした。

ダンピング対策はさらなる徹底を要請。国交省の基準を大きく下回る低入札価格調査基準価格や最低制限価格を設定している自治体の算定方式などを「見える化」する試みを今夏にも行う。低入札価格調査による排除の実施状況が著しく低く実効性に疑問符が付く自治体には、年度内にも個別ヒアリングを行い必要に応じ改善を働き掛ける。

低入札価格を下回る受注があった場合の履行確保措置を体系化し周知する。手抜き防止やしわ寄せ排除、不履行への対応強化を念頭に、▽監督・検査の強化▽技術者の増員▽下請業者への公正・透明(クリア)な支払いの確認▽契約保証額の引き上げなど▽工事請負契約にかかる指名停止措置の強化-の5項目を「かきくけこ」と称し徹底してもらう。

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