2021/09/30 赤羽国交相/技能者賃金上昇を改めて要請/建設業4団体に、好循環維持へ協力を

【建設工業新聞  9月 30日 1面記事掲載】

赤羽一嘉国土交通相は29日に開いた建設業4団体との意見交換会で、技能労働者の賃金水準を「おおむね2%以上」引き上げる目標の達成に向け、改めて協力を要請した。10月に実施する公共事業労務費調査を踏まえ、「賃金の上昇が労務単価の上昇につながる好循環を維持できるよう引き続き取り組みを進めたい」と表明。ダンピング受注を控えるようくぎを刺し、適正な価格で下請契約を結ぶよう求めた。

意見交換会には日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長と押味至一、蓮輪賢治両副会長、全国建設業協会(全建)の奥村太加典会長、全国中小建設業協会(全中建)の土志田領司会長、建設産業専門団体連合会(建専連)の岩田正吾会長らが出席した。

国交省は10~12月に都道府県と共催する「建設業取引適正化推進期間」を活用し、標準見積書の活用状況や見積もりに基づく協議状況を重点調査する。主要な元請企業を対象に見積書や契約書に記載した労務費と法定福利費の内訳明示状況、工期設定をチェックする。

意見交換会で赤羽国交相は、標準見積書の活用による労務費と法定福利費の内訳明示の促進と見積もりの尊重を、10月にも元請・下請団体に要請すると明らかにした。地方自治体には請負代金内訳書の法定福利費の内訳額を確認するよう求め、取り組みの実効性を高める。

4団体は3月以降、賃金上昇に向けた取り組みを展開している。適切な下請契約の締結やダンピング受注の防止などを会員企業に要請。ただコロナ禍による民間市場の低迷などもあり、ダンピング受注の横行を懸念する意見も一部団体からあった。

赤羽国交相は地方自治体のうち市町村でダンピング対策が徹底されていないのではないかと問題提起。建設業が防災・減災、国土強靱化を担う中核との認識を示した上で、「担い手不足で(災害に)対応できなくなる恐れがある。リアリティーを持って市町村を指導していかないといけない」と述べた。

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