2021/10/15 中建審 経営事項審査改正を議論。
W点でCCUS導入の元請企業評価、エコアクション21、ワークライフバランス等について審議。

2021年10月15日(金) 国土交通省は中央建設業審議会総会を開催し、経営事項審査改正の方向性について審議された。
審議会の冒頭、国土交通省 不動産・建設経済局 長橋和久局長から
「建設業界の将来の担い手確保が大事であり処遇改善や生産性の向上など先を見据え、しっかりと行っていきたい。
処遇改善という観点から労務単価の引き上げを行ってきたが、さらに一層徹底していきたい。」と挨拶がありました。




経営事項審査改正の視点として
①担い手の育成・確保
②災害対応力の強化
③環境への配慮を推進するため、①~③に考慮した建設企業の努力を適正に評価することを検討。

改正案は以下5点の見直しを検討するもので、委員の皆様からは賛成意見が多数ありました。

1.下請負人に使用される者の労働条件に係る取組として、CCUSを現場で導入している元請企業を評価
2.ワークライフバランスに関する取組として、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業を評価
3.建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加
4.環境への配慮に関する取組の評価としてISO14001に加え、エコアクション21を候補として想定
5.監理技術者講習受講者の経審上の加点について経審上加点可能な期間を修正


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1.下請負人に使用される者の労働条件に係る取組として、CCUSを現場で導入している元請企業を評価
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは技能者の経歴や資格、社会保険への加入状況等を登録・蓄積するしくみであり、技能の公正評価、工事の品質向上や現場作業での効率化を図るシステム。
CCUSは下請負人に雇用される者も含め、広く技能労働者の処遇改善のための取組である。
CCUSを導入している元請企業は、自らの負担により、技能者の労働条件の改善に相応の役割を果たしているという観点から、経審において適切に評価することを検討。


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2.ワークライフバランスに関する取組として、くるみん認定・えるぼし認定・ユースエール認定等を受けている企業を評価
建設業の働き方改革を推進するうえで、ワークライフバランスの視点も重要である。
女性を含めた将来にわたっての担い手確保を図る必要があり、イメージアップのために建設業界全体として取組む必要があるが、上記点について評価項目がないため、評価項目として検討。
具体的には「くるみん認定」や「えるぼし認定」「ユースエール認定」を取得している企業を評価することを検討。


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3.建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加
現行の加点対象機種は以下6機種。
(ショベル系掘削機・トラクターショベル・ブルドーザー・移動式クレーン・大型ダンプ・モーターグレーダー)。
上記の他「建柱車」や「ロードローラー」等、実際の災害対応において活躍しているものの、経営事項審査では加点対象になっていない建設機械が多く存在するという声があり加点対象機械の拡大を検討。


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4.環境への配慮に関する取組の評価としてISO14001に加え、エコアクション21を候補として追加
現行環境への配慮に関する取組としては、ISO14001の認証を評価しているが、脱炭素を含めて環境問題への取組が改めて求められる。
上記の観点からISOだけでなく、環境に配慮した認証を取得している場合、加点評価を検討。
議事では例示として、「エコアクション21」が加点の対象候補として挙げられた。


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5.監理技術者講習受講者の経審上の加点について経審上加点可能な期間を修正
専任の監理技術者として現場に配置可能な期間はもれなく経営事項審査においても加点可能となるよう措置する。


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改正案について、委員からは以下のような意見が寄せられた。
・CCUSの普及により元請企業に一定の負担は生じるが、現場のデータを取得可能なためより効果的な工事を行うための分析が可能になるため、CCUSの加点を前向きに検討してほしい。

・CCUSを加点にすることは賛成であるが、ネット環境がつながりにくくカードリーダーの設置が難しい山間部の現場への配慮が必要。
元請企業がCCUSを導入しやすい環境整備を検討することが必要。

・環境に配慮する企業を評価することについては賛成。
関係省庁に確認し、エコアクションだけなく、関係する制度については議題に挙げてほしい。

・ISOの認証取得は容易ではない。
協力会社も含めサプライチェーン全体で環境への取組を評価するためには、取得が容易な認証制度を用意することが必要。

寄せられた意見をもとに、再度方針について検討しまとめを行い、年度内に中建審が開催される予定だ。



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