2021/10/18 国交省/経審改正で方向性提示/CCUS現場導入を加点評価、災害対応など対象拡充

【建設工業新聞  10月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は担い手の確保・育成と災害対応力の強化、環境への配慮の観点で経営事項審査(経審)を改正する方向性を示した。建設キャリアアップシステム(CCUS)を現場で導入する企業を評価し、技能者の処遇改善を一層推進。ワーク・ライフ・バランス(WLB、仕事と家庭の調和)の視点で働き方改革に取り組む企業への加点も検討する。災害復旧に使用する建設機械の保有状況や環境配慮対応を適切に評価するため、加点対象となる建機の種類や環境認証制度を拡充する。加点評価の条件や点数を盛り込んだ改正案を近く固める。=2面に関連記事

15日に東京都内で開いた中央建設業審議会(中建審、柳正憲会長)の総会に改正の方向性を審議事項として提示した=写真。多くの委員から大枠に賛同する意見が挙がった。早ければ年末ごろに次回会合を開き、改正案を審議してもらう。

現行経審は自社雇用の技術者・技能者の確保・育成状況を評価しているが、下請が雇用する技能者も含めた処遇改善の取り組みは評価対象にしていない。下請が雇用する者の労働条件改善を元請企業の「努力義務」と位置付ける公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の趣旨も踏まえ、CCUSの導入を通じ技能者の処遇改善に貢献する企業を評価する枠組みが必要と判断。CCUSの現場登録やカードリーダー設置といった環境整備に取り組む元請企業に加点措置を講じる方向で検討している。

働き方改革を推進し、女性を含む担い手を確保する観点でWLBの評価項目を新設。▽くるみん認定▽えるぼし認定▽ユースエール認定-などの取得企業の加点評価を想定している。

建機の保有状況の加点措置は、建設業団体へのアンケートで実態を把握した上で対象追加を検討する。現状は▽ショベル系掘削機▽トラクターショベル▽ブルドーザー▽移動式クレーン▽大型ダンプ▽モーターグレーダー-の6機種が加点対象。建柱車やロードローラーなどの追加を視野に入れる。

環境配慮への加点評価は、現状でISO認証の取得企業が対象。脱炭素への対応が中小企業にも求められる昨今の社会状況を踏まえ、ISO認証以外の環境マネジメント認証の対象追加などを検討する。

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