2021/12/13 国家試験受験料、建設関係は据え置き/国交省、コロナ対応でコスト増も改定見送り

【建設工業新聞  12月 13日 1面記事掲載】

コロナ禍を背景に受験料を引き上げるケースが増えている国家資格試験のうち、建設業法に基づく技術検定や建築士法に基づく1級建築士試験、技術士法に基づく技術士試験といった建設関係の主要な資格試験は2022年度も受験料を据え置くことが分かった。試験会場で感染防止対策が求められる状況は共通し、各試験とも受験料改定の必要性を検証していたものの、結果的に見送る方針を決めた。

新型コロナウイルスの流行を受け試験会場では消毒・検温の徹底や受験者の間隔確保などの対応が求められている。試験実施者の多くが対策費用を受験料に転嫁せざるを得ない状況になっている。厚生労働省は21年度、社会保険労務士の受験料を従来の9000円から1万5000円に改定。社会福祉士や介護福祉士の受験料も2~3割引き上げた。他省庁が所管する資格試験でも改定が相次いでいる。

国土交通省などが所管する建設関係の資格試験でもコスト増の課題は共通している。ただ試験の実施方法の違いで必要な対策には差が出る。建築士試験を例に挙げると、「製図試験に大きい机を用意しており現状でも距離は取れている」(国交省担当者)という。ただ当面は受験料を据え置くものの、「新型コロナへの対応だけでなく、受験者数の減少など、さまざまな要因で料金改定が必要になる可能性はある」と指摘する関係者もいる。

受験料改定の動きは今後も注視が必要だ。総務省は全国統一で設定している地方自治体の事務手数料の標準額を見直すための政令改正案を3日に公表。国家資格試験関係では、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引士(宅建士)の受験料を現行の7000円から8200円に引き上げる方針が示されている。ほかにも電気工事士法に基づく電気工事士の免状書き換え手続きを現行の2100円から2700円に改定する。改正案への意見募集を経て22年1月に閣議決定し、同4月に施行する予定だ。

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