2022/01/20 ダンピング対策、施工時期平準化/市区町村で徐々に進展/国交省の個別働き掛け奏功

【建設工業新聞  1月 20日 1面記事掲載】

ダンピング対策や施工時期の平準化の取り組みが遅れている市区町村の状況が徐々に改善していることが分かった。国土交通省の調べによると、低入札価格調査基準か最低制限価格の算定式が最新の中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルを下回っていた人口10万人以上の市区のうち、過半数の30団体が改正済みか2022年度に改正予定と返答。平準化措置を講じていない人口10万人未満の市区は前年度から半数以下の15団体となった。国交省のヒアリングなど個別の働き掛けが功を奏した格好だ。

国交省は公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく20年度の実態調査(20年10月1日時点)を踏まえ改善が必要な自治体を抽出。ダンピング対策で中央公契連モデルを満たさない人口10万人以上の市区(54団体)、平準化措置として「さしすせそ」をいずれも未実施の人口10万人未満の市区(42団体)などを昨年10月以降にヒアリングした。

調査基準価格などの算定基準の引き上げを30団体が決定したとヒアリングで確認。基準改正を検討する市も11団体あった。ただ基準改正で入札不調が起きやすくなり円滑な事業推進が妨げられると懸念する声もあった。落札率の上昇による財政負担の増加などを理由に「改正困難」と返答した自治体もある。

国交省は平準化措置の「さしすせそ」として、▽債務負担行為の活用▽柔軟な工期設定▽速やかな繰り越し手続き▽積算の前倒し▽早期執行の目標設定-の五つを働き掛けている。いずれも未実施の理由に職員やノウハウの不足を挙げる自治体が多い。小規模自治体向けの取り組み事例の情報提供を求める声も大きく、都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)などで課題に合わせた改善策を周知している。

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