2022/01/31 国交省/施工体系図掲示でICT機器利用規定明確化/現場判断で利用しやすく

【建設工業新聞  1月 31日 1面記事掲載】

国土交通省は工事現場内外で義務付けられている施工体系図や標識の掲示方法の一つとして、デジタルサイネージなどICT(情報通信技術)機器の利用規定を明確化した。従来の印刷物での掲示方法と同じような役割を果たせるよう要件を設定し、現場判断で利用しやすくする。印刷物は下請業者の入退場のたびに張り替えが必要になるなど多くの手間やコストがかかっていただけに、業務負担の軽減が期待できる。

建設業団体や地方整備局、都道府県に掲示方法の解釈に関する通知文書を27日付で出した。施工体系図の掲示にICT機器を活用する場合、▽工事関係者が必要な時に確認できる▽デジタルサイネージなどで確認可能と画面内外に分かりやすく表示している▽施工分担を簡明に確認可能な画面サイズ・輝度・文字サイズ・デザイン▽スライドショー方式の機器の場合は全体の確認に長時間を要しない-の四つの要件を満たしてもらう。

現場外部に掲示する場合は施工時間外でも近隣住民などが確認できるよう、人感センサーや画面タッチによる画面表示機能を原則とする。近隣配慮で夜間などの画面表示が難しいケースもあるため、その場合は特例として画面消灯時にインターネット上で施工体系図を閲覧できるよう工夫してもらう。許可番号や商号を記載した標識の掲示でもほぼ同様に対応してもらう。

建設業法では元下双方が現場の施工体制を的確に把握する目的で、下請の役割分担が一目で分かる施工体系図の掲示が義務付けられている。公共工事の場合は入札契約適正化法に基づき、現場の仮囲いなど外部にも見えやすいよう掲示する必要がある。

掲示方法の規定はそもそも存在せず、慣例として印刷物が利用されてきた。ただ大規模工事になるほど印刷物が膨大になりラミネート加工などで手間が発生。下請業者の出入りが頻繁にある民間建築では毎日のように更新作業が必要になるケースもある。こうした課題を解消するデジタルサイネージを印刷物と併用する形で試行導入する事例も出てくるなどニーズが高まっていた。

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