2022/02/08 日建連/賃上げ企業加点制度運用で意見/給与増加率0・75%程度に見直しを

【建設工業新聞  2月 8日 1面記事掲載】

賃上げ企業を総合評価方式の入札契約手続きで加点する国の施策に関連し、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が制度運用の意見をまとめた。従業員1人当たり平均の給与額が前年度に比べ3%以上増えると加点評価する大企業向けの基準を見直し、増加率を3%の4分の1に抑えるよう要望。これまで賃上げに踏み切ってきた企業とそうでない企業で不公平感がでないよう、既に賃上げした企業は2年分の実績を見るなど柔軟な対応も求めた。

意見書は、自民党「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)で幹事長を務める佐藤信秋参院議員の連絡を受けまとめた。同議連が建設業界の意見を踏まえ、財務、国土交通両省に制度運用の改善を働き掛ける。

財務省通達(2021年12月17日)の現運用によると、総合評価方式の入札で賃上げの加点評価を受けるには大企業で1人当たりの平均給与額を前年度比3%以上、中小企業なら総人件費を1・5%以上増やす目標を設定する必要がある。

日建連によると、大企業が多い会員企業の売り上げに占める官公庁工事の割合は4分の1程度。民間工事が大部分を占める状況で従業員の給与を3%以上引き上げることは非常に負担が大きい。加点評価基準となる賃上げ実績の水準を現在の3%から4分の1の0・75%程度まで引き下げるよう検討を求めている。

これまで賃上げに取り組んできた企業への配慮も強調した。昨年3月には日建連など建設業4団体と国交省が技能労働者の賃金でおおむね2%上昇を目指す目標を申し合わせた経緯もある。既に賃上げした企業の実績確認は2カ年分を合わせその前年度と比較するなど柔軟な対応を呼び掛けた。

24年度から建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用される。建設各社が作業所の週休2日確保と時間外労働の削減に努力している。賃上げ実績は各社の事情も踏まえ時間外手当を除く基本給と賞与で確認できるようにすることも認めてほしいと訴えた。賃上げ未達成企業の減点措置も大きすぎるとし見直しを求めた。

日建連は賃上げの原資として、公共工事設計労務単価や積算単価を構成する諸経費率、低入札調査基準の設定範囲などで引き上げが必要としている。

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