2022/02/10 賃上げ企業加点/国交省、柔軟運用で対応通知/入札説明書の記載明確化

【建設工業新聞  2月 10日 1面記事掲載】

賃上げを行う企業を総合評価方式の入札契約手続きで加点評価する措置の運用を巡り、国土交通省は「賃上げ実績の確認」の考え方を明確化した8日付の財務省通知への対応を地方整備局などに周知する事務連絡を同日送付した。財務省通知の内容に入札説明書への記載例など補足事項を追記。入札参加者に措置内容や運用方法が的確に伝わるよう、発注部局に適切な対応を求めている。

加点を受けるには賃金引き上げで従業員と合意したことを示す「表明書」の提出が求められる。賃上げを達成したかどうかの実績は事後的に確認する形を取るが、財務省の当初通知(2021年12月17日付)の規定では従業員の賃金実態を適切に反映できないケースがあると指摘されていた。

課題を踏まえ実績確認の考え方を明確化し、各企業の実情に応じ賃上げ実績として認める範囲を広げた。当初通知では評価項目を大企業で「1人当たりの平均受給額」、中小企業で「給与総額」に限定していたが、企業規模にかかわらず両方とも選択できるようにする。

さらに各企業の実情を踏まえ、継続雇用している従業員だけの基本給や所定内賃金で評価することも可能。実績確認に用いる書類に一時的な雇い入れによる労務費や役員報酬などが含まれていたり、一部の従業員の給与が含まれていなかったりする場合は、従業員の賃金実態を適切に反映する目的で控除や補完も認める。

実績確認のため提出を求める書類は「法人事業概況説明書」や「給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表」に限定せず、税理士や公認会計士など第三者による実績確認を明記した書面で代えることができると明確化する。

賃上げ表明は事業年度単位か暦年単位で選択可能だが、翌年度(または翌年)も表明する場合は前年度(または前年)と期間が重ならないよう入札参加者に注意を促す。賃上げ表明の期間と加点を受ける期間の不整合を防ぐためだ。法人税申告書の提出期限が延長された場合、実績確認に用いる書類の提出期限を延長できることなども追記した。

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